<ばらかもん>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第10話ストーリー&レビュー
第10話のストーリー
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半田清舟(杉野遥亮)は書道家をやめると宣言し、琴石なる(宮崎莉里沙)と五島列島に帰る決意を固める。旅立ちの日、マネージャーの川藤鷹生(中尾明慶)は、「ウチとの契約を切るってどういうことだ?」と清舟に怒りをぶつける。清舟は、村で書道教室を開き、なるたちの先生になって村に恩返しがしたいという自分の思いを伝えた。だが川藤は納得せず、金にならないヤツとは付き合うだけ無駄だと言って去ってしまい、なるは、このまま清舟と川藤との関係が終わってしまうのではないかと落ち込む。
五島に戻った清舟となるを出迎えたのは、仕事から逃げて清舟の家に滞在していた神崎康介(荒木飛羽)だった。康介は、書道家をやめることを清舟に伝えるが、清舟から「オレもやめるぞ!」と言われて固まってしまう。
そんな中、美和(豊嶋花)は実家の酒店が経営難で巌(宍戸開)が畳もうとしているようだと悩みを周囲に打ち明ける。さらに、清舟は、浩志(綱啓永)が長崎にある料亭の採用試験に落ちてしまったことを郷長(飯尾和樹)から聞き…。
第10話のレビュー
書道家をやめる、と宣言し、島で書道教室を開くことにした半田(杉野遥亮)。新しい一歩を踏み出した彼の行く先は、これで順風満帆……とはいかない。人数の限られた村で、月謝1万円の書道教室にどれだけの人が集まるか。教室の設立費用や、月々にかかる経費はいくらになるか。半田ひとりでそれら諸々が整うはずもなかった。「後ろ向きな決断じゃない」「俺は、ちゃんとこいつらの先生になって、村に恩返ししたいんだ」と大見得を切ったものもの、生徒集めの段階で行き詰まる半田。結局、ケンカ別れのようになった川藤(中尾明慶)に頼ることになる。
画商としてはもちろん、一人の友人としても半田を支えてきた川藤。半田が書道家をやめ、島で書道教室を開くと宣言したときの衝撃を、彼は受け止めきれずにいた。
半田を東京へ無理やり連れ戻す覚悟で乗り込んだ川藤だったが、やがて、自ら厳しい道を進もうとする半田の姿にほだされる。半田らしさを二の次に、書道教室らしい教室を目指そうとする半田に、すかさず彼は言う。
「お前、なに良い先生になろうとしてんだよ」
「お前の道じゃないと、俺はついていかないぞ」
書道家としての半田は、基礎を重んじ、綺麗で型に嵌まった字を書こうとしていた。お手本に倣うのが、もっとも良い道だと信じ込んでいたのだ。
けれど、島にやってきてからの半田は、どんどんそのセオリーを崩していく。厳密にいえば、そこに暮らす人々のおかげで崩れざるを得なかったのだが……。彼の書く字は、どんどん“らしく”なっていった。
川藤の一声で、半田はまたもや、見失いかけていた自分を取り戻す。彼が歩こうとしている道は、厳しい道だ。周りから見れば、とくに川藤から見れば、ただ「逃げて遠回り」しているだけに見えるかもしれない。それでも、それは、半田が選んだ道……「誰も通ったことのない道」なのだ。
島の若者たちも、それぞれ、まだ見えない将来に向かって一歩を踏み出そうとしている。美和(豊嶋花)は実家の酒店を継ぐこと、珠子(近藤華)は漫画家になること、そして浩志(綱啓永)は、料理人になること。
未来への確信ではなく、覚悟を持って前に進むことが、どれほど怖いことか。それでも彼らは、まだ知らない領域に向かっていく。自分なりの道をつくり、自分だけの人生を生きるため。
人との出会いが、人生に影響を与える。見えなかった将来が、ほんの少しだけ掴めたように感じる。迷って、逃げて、また前を向く。きっと人生は、その繰り返しだ。このドラマは、挫折や失敗を土台にして立ち上がる術と、困ったときに助けてくれる“人”のあたたかさを教えてくれる。
最終回、彼らが向かった先では、どんな景色が見えるだろう。
※この記事は「ばらかもん」の各話を1つにまとめたものです。
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