<ばらかもん>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー


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半田清舟(杉野遥亮)は、一流ホテルを父・清明(遠藤憲一)の作品で彩る準備を手伝うため、東京に行くことになった。それを知り、一緒に行くと騒ぎ出す琴石なる(宮崎莉里沙)。清舟から東京行きを反対されたなるは、誕生日に清舟からもらった「なんでもいうこときくけん」で東京同行を説得する。

東京へ向かう日、清舟となるは、何故か空港で神崎康介(荒木飛羽)に出会う。康介は、川藤鷹生(中尾明慶)からこき使われることに耐えられなくなり、逃げてきたのだと言う。清舟は、そんな康介に仕方ないから家を使わせてやると言って自宅の鍵を手渡す。

到着早々、手伝いに駆り出された清舟は、川藤の事務所に新たに所属することになった書道家・佐久間圭(佐々木一平)を紹介される。個展を開くという佐久間の打ち合わせに参加した清舟は、書道家の作品を支えるプロの仕事を目の当たりにし…。

清舟が疲れ果てて帰宅すると、なるが部屋の隅でどんよりしていた。清舟が遊んでくれるのをずっと待っていたらしい。そんな折、部屋にこもって作品作りに集中していた清明が、清舟を部屋に呼んだ。そこで清明は、東京に戻って来るよう、清舟に告げる。清明の側で仕事を手伝いながら、プロの書道家としての勉強を始めろ、と言うのだ。

あくる日、清舟はなるを連れて動物園に遊びに行く。だが清舟は、清明の言葉が頭から離れず…。

第9話のレビュー

父・清明(遠藤憲一)の仕事を手伝うため、一時的に東京へ戻った半田(杉野遥亮)。「なんでもいうこときくけん」を発動し、なる(宮崎莉里沙)も一緒についてきた。ともに買い物をしたり、動物園へ行ったりと、今回はとくに微笑ましいシーンが続く。この二人には、20年後も一緒に動物園へ行ってもらいたい。ホワイトタイガーを見て喜んだ思い出話をしてほしい。

なるの遊び相手はそこそこに、父の仕事をその目で見ながら、自身の将来について考える半田。島の若者たちはそれぞれ、浩志(綱啓永)は料理人になる夢を、珠子(近藤華)は漫画家になる夢を、美和(豊嶋花)は家業を継ぐ将来(?)を視野に入れている。

半田が悩む姿を見ながら、視聴者それぞれが、各々の立場で自身を省みるだろう。自分は何者なのか。自分には何ができるのか。そもそも、何がしたいのか。

書道家として書と向き合いながら、半田はたびたび、壁にぶつかってきた。その壁はほとんどが、父によってつくられたものだった。書道家としての道を歩むということは、偉大な書道家である父と否応なしに比べられ続ける、ということ。自分にとっての「書」とは何かを突き詰める前に、半田は、「親父みたいには無理だ」と思ってしまっている。

なるを含め、島に住む人たちは全員が半田を「先生」と呼ぶ。

なぜ、彼らはなんの疑問も持たず、なんのためらいもなく「先生」と呼ぶのか。

こう言ってはなんだけれど、きっと、彼らに深い意図はない。書道の先生だから。えらい書道の先生の息子だから。書道が上手だから。みんなが「先生」と呼ぶから。それでも、いつだって突破口は、当たり前と思われていた穴をさらに深く掘り進めたところにあるものだ。

「お前にとって、俺はなんの先生なんだ? 俺はなんなんだ?」

半田は、なるにそう訊ねた。捉え方によっては、とんでもなく哲学的な問いかけだ。なるは小学生らしく悩み、そして実にシンプルにこう答える。「半田先生は半田先生! それ以外は思いつかないな」と。

年齢を重ねるごとに、ただそこに“在り続ける”ことができなくなるのは、なぜだろう。学校を卒業し、仕事をし、人によっては結婚したり家族をつくったりする。そのたびに増えていく“肩書き”は、ときに力をくれるが、ときに足枷にもなる。いま立っている場所が正解なのか、進もうとしている方向は合っているのか、わからなくなる。

なるの答えは簡単だった。気軽にポンと与えられた回答は、半田の心までシンプルに整える。

島に戻るか、東京に帰って本格的に書道家になる勉強に励むか。選択を迫られた半田は、父に向かってはっきりと言った。「俺、書道家やめます」……。

肩書きを捨てた半田は、この先、どこに向かうのだろう。

※この記事は「ばらかもん」の各話を1つにまとめたものです。

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(C)フジテレビ

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