<ばらかもん>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第7話ストーリー&レビュー

第7話のストーリー


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神社の前を通りかかった半田清舟(杉野遥亮)は、琴石なる(宮崎莉里沙)と久保田陽菜(寺田藍月)に出会う。清舟が宿題をやっていないと言うなるを注意すると、「大きくなったら“やくそうけんきゅうか” になる」と言って、石段に空いた穴に野草を詰め込みゴリゴリとつぶし始めるなる。何とその穴は、ヤスば(野村ヤス:鷲尾真知子)が子どものころからあり、同じようにままごと遊びに使われていたらしい。世代を超えて受け継がれていることに感慨を覚える清舟。

同じ頃、東京の半田家では、清明(遠藤憲一)が川藤鷹生(中尾明慶)に休暇を申し出ていた。だが、超一流ホテルから館内に飾るために清明に作品を書いて欲しいという依頼を受けていた川藤は、休んでいる暇はないのでは、と言って反対する。すると、半端な作品を書くわけにはいかないのだから、そのための準備期間だと思ってほしいと返す清明。実は清明が休暇をとって行こうとしていたのは、清舟が暮らしている五島列島だった。そこにやってきた妻のえみ(長野里美)は、自分も一緒に行くと言い、清舟にお見合い話を切り出そうとする。

両親が島に来るとの連絡を受けた清舟は、なるや山村美和(豊嶋花)たちに、家への立ち入り禁止を命じる。だが、すぐにそんなことは無理だと気づいた清舟は、ひとつだけ言っておくと前置きし、「ウチの母さん、すごく面倒くさい人だから」と忠告する。

それから数日後、清明とえみ、川藤が五島列島にやってくるが……。



第7話のレビュー


人から言われた言葉は、良くも悪くも心に残る。とくに幼少期や、自身の至らなさを痛感しているタイミングなどに入ってきた言葉は、意思に反していつまでも巣食うもの。半田(杉野遥亮)にとってのそれは、八神館長(田中泯)から言われた「つまらない字だ」だった。

ルールに則った、規則正しい、つまらない字。半田の書に対するその評価が、ずっとずっと、心を縛り付けていた。本編では描かれずとも、筆を持つたびに半田を悩ませ続けていたに違いない。

半田の父・清明(遠藤憲一)と母・えみ(長野里美)が五島にやってきた。休暇をとって息子の顔を見たい気持ちが大半だっただろうが、清明自身も島から力をもらい、書に反映してきた過去がある。懐かしい島の風を感じたくなったのかもしれない。

半田にとっても、なぜ父親が自分を島に寄越したのか、その理由を探っていた。親子揃ってなる(宮崎莉里沙)たちに書道の特別教室を開くことになった流れで、なんと半田親子が書道対決をすることに。図らずもその場で、半田にかけられた“呪い”が解かれることになる。

「親父は感情が顔に出ないぶん、書道で表現してると思うんです。だから、人の心を揺さぶる字が書けて。俺は一生追いつけないんだろうなって」……父・清明に対するジレンマを打ち明けていた半田。遠すぎる父の背中、越えようとするなんて10年早い、まだまだ期待には応えられない。「つまらない」と烙印を押された己の字ごと、半田はコンプレックスから逃れられないでいる。

そんな息子に対し、清明は言った。

「お前の字は本当に美しくて、規則正しい。そして、素直な字だ」

つまらない字なんかじゃない。教えを真摯に反映させた素直な字であり、努力と意地で人の心を打つ字だと、“呪い”を塗り替えてくれたのだ。

島にきたおかげで、半田は確実に変化している。東京では感じられない空気の心地よさと空の広さ、島民たちとの交流。それらを通して気持ちよく伸びやかに、柔らかく広がった半田の心が、書に反映される。

半田はずっと、なぜ父が自分をこの島に寄越したのかを気にしていた。きっと清明も、書道における暗黙の“こうあるべき”にがんじがらめになった心を、この島でたおやかに伸ばした。そんな過去を、息子にも追体験させたかったのではないだろうか。

「私は息子にとっての、生涯のライバルでいたい」……この言葉はきっと、息子の半田にとってはこれ以上ない“贈り物”だ。新しく塗り替えられた心で半田は、さらにもっと良い書を書くに違いない。

※この記事は「ばらかもん」の各話を1つにまとめたものです。

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(C)フジテレビ

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