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2023年08月19日

<転職の魔王様>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<転職の魔王様>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー



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大手食品会社に勤める笹川直哉(渡邊圭祐)は、大学のサッカー部で培った体育会系のノリの良さを生かし、健康食品部門の営業として働く入社4年目。上司のむちゃな要求に応え、取引先との接待では若手として気を配り、場を盛り上げるために身を削ることも少なくないが、それでも、自らの仕事にやりがいを感じ、会社の利益につながる働きをしていると自負していた。しかし、会社はそんな自分の仕事ぶりを正当に評価してくれず、次第に不満を感じるようになった笹川は転職を考える。

来栖(成田凌)とともに笹川と面談した千晴(小芝風花)は、営業の鏡ともいえるほどに明るく前向きな笹川に好印象を抱き、企業がほしがる人材だと確信する。しかし、来栖には一つ気になることが――。

「その仮面、いつまでつけ続けるおつもりですか?」
来栖によると、笹川は上司にウケのいい人間を演じており、そのクセが染みついているという。意外にも、笹川を「厄介かもしれない」と懸念する来栖の言葉に対し、その意味が分からない千晴は…。

しばらくして、笹川の再面談が行われる。あらかじめ送った求人票に目を通した笹川は、千晴たちが提案した企業に対し、「転職サイトの口コミで、あまりいい評価がなかった」とこぼす。すると来栖は、持ち前の鋭い視点と核心をついた言葉で、笹川にある疑問を投げかける!

第3話のレビュー


新卒で入った会社はとりあえず3年勤めるのが正解、ブラック体質な会社でどれだけ長く耐えられるかに自己犠牲の価値を見出し、「部署がキツすぎて同期はみんな辞めた、続いているのは自分しかいない」とマウントを張る典型的な営業マン・笹川直哉(渡邊圭祐)が、今回の来栖(成田凌)のターゲット(?)。


食品会社でバリバリ営業をやるも、4年目にして完全なる“接待の盛り上げ役”に終始しており、不完全燃焼な様子の笹川。上司に自分の仕事を認めてもらえている気がせず、もっとしっかり自分のことを評価してくれる会社に行きたい、と転職を希望する。

営業をやっているからか、上司受けの良い言動が癖になっている笹川。それをいつもの毒舌で「その仮面、いつまでつけ続けるおつもりですか?」と喝破する来栖は、やっぱり来栖だ。「ご自身のどこを評価してほしいんですか?」「ご自身にどこか評価すべきところがあるんですよね?」と続ける様を見ていると、当事者ではないのにすみませんでした……と頭を下げたくなってしまう。


今回の来栖も潔いほどに荒療治だった。笹川の“仮面”をひっぺがすために、かつて彼と一緒に働いていた同期社員たちと引き合わせた。辞めていった彼らの現状を突きつけるためである。

一人はアプリ会社を立ち上げ、一人はeスポーツで生計を立て、もう一人は二度転職した後プロジェクトリーダーを任されるまでになっていた。

片や、同じ時間を過ごしたはずの笹川の主な仕事は“接待の盛り上げ”。その後、来栖が「とりあえず3年はもはや死語です」「その間に培った実績や強みがなければ、時間を無駄にしたも同然」とバッサリやる。笹川が気の毒で仕方がないが、一理ある。

来栖の荒療治は功を奏す。笹川自身、ひたすら上司の顔色を読んで太鼓持ちをする現実に、いいかげん嫌気がさしていたのだろう。さっぱりした顔で、上司に退職願を出した。仮面をつけず、そのままの自分で働ける会社は、絶対にあるはずだ。

笹川のように、自分自身や、自分がやってきた仕事に対し“評価”を求める姿勢は、甘えなどではない。来栖の言うとおり、仕事は人と人との繋がりで成り立つもの。感情を伴わずとも完遂できる仕事は、今後どんどんAIに任せていこう。人じゃないとできない仕事、人だからこそより良くできる仕事に、私たちは時間を割いたほうがいい。

ひとまず全管理職のデスク前に「部下を褒めない上司など上司に値しません」と書いた紙を貼り出してほしい。他者や自分自身に向き合い、“良いところ”を知り、認め、伝え合うことが良い仕事を生む。そんなふうに信じる姿勢が“甘え”と一刀両断される社会は、願い下げである。


※この記事は「転職の魔王様」の各話を1つにまとめたものです。

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