<ブギウギ ・戦後編>16週~19週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第91回のレビュー
コンサートのための稽古が続きます。が、スズ子(趣里)は愛子を連れて稽古場に来ているため、愛子の世話をするため何かと稽古が止まってしまいます。
コロンコロンレコードの佐原(夙川アトム)は、子守を雇う費用も辞さないのですが、スズ子はできるだけ自分で面倒を見たい。
羽鳥(草彅剛)は麻里(市川実和子)に頼めばいいと言いますが、スズ子は3人もの育児をしている彼女には頼めないと気遣います。
抜本的な解決策がみつからないでいると、茨田りつ子(菊地凛子)がやって来て、みんなで面倒見ればいいじゃないと一刀両断。
りつ子はこれまでのことを見てないから仕方ないですが、山下(近藤芳正)なんて、かなり協力的なのに、男性陣が全然協力してないって論調はどうかと。
バックダンサーの女性陣もいるし、レコード会社や興業会社の女性社員も少しはいるだろうし、みんなが少しずつ協力する流れを描いても良かった気がします。佐原や小島(田村裕)が気が利かない人たちの役割を担うのはありで。
モデルの笠置シヅ子さんはどうやって、こういう状況を乗り越えたのでしょう。
「自分勝手なんだよスターさんは」と文句を言ってる関係者の声を黙って耐える、悲劇のヒロインのようだったのか。それとも、すんまへんなあ、これでも食べてとお弁当を奮発したりしたのではないか。こういうときは、うな重や、いまなら叙々苑焼肉弁当を出すしかないと思うの。
とにかく、できるだけひとりで育てたいスズ子。
いっときも離したくないのだと、りつ子に言います。それは、自分がもらいっ子だったから。
おそらくですが、ツヤ(水川あさみ)がスズ子を実母から預かったっきり、そのままにした体験が、スズ子の頭にこびりついているのでしょう。
自分自身が、他人のツヤにすっかりなついてしまったわけですから、愛子を誰かに預けたら、自分と同じになりかねない。その心配が強烈にあるのでしょう。
情を育てるのは、血ではない、一緒に過ごした時間なのです。
だからこそ、みんなで育てるということも可能なのです。
この状況を見ていると、NHK大阪局は、「まんぷく」(2018年度後期)のときから、スタジオに託児所施設などを準備して、育児しながら出演できるようにしたことを思います。「まんぷく」のヒロイン・安藤サクラさんが、大阪に子連れで来て、主演をやりきった。そういう実績があるから、仕事しながら育児する母親を、みんながバックアップするという考えには説得力を感じます。
さて。いよいよコンサート当日。
昭和23年1月、本番前の楽屋で、スズ子はばっちりつけまつげをつけて準備万端にしていると、りつ子がやって来て、本番中は愛子を見てくれることになりました。
このシーンは、第1話の冒頭の印象的な場面ですが、再撮したそうです。
菊地凛子さんの表情がかなり初回と違っています。
りつ子は、スズ子とは正反対で、自分の子を実家に預けっぱなしで、仕事を選んでいます。その贖罪なのか、愛子を丁寧に面倒見ます。ちょっとイイ話ふうですが、これをりつ子の実子が見たら、拗れそう。私のことは面倒見てくれず、他人の子は面倒見るのかよって。
みんないろいろ事情があり、すべてをきれいごとにはできないもの。
そんなとき、ガード下に、タイ子(藤間爽子)の姿が……。結婚して東京に出ていき、ツヤが亡くなったとき、妊娠していた彼女はいま、何をしているのか……。なんだか様子がおかしい。
やっぱり、まったく語られていない人はあるとき、ふいに出てくる法則が朝ドラにはある気がします。
【朝ドラ辞典 消息不明(しょうそくふめい)】朝ドラでは、途中で出てこなくなる登場人物がいる。それまで濃密に主人公に関わっていたにもかかわらず、その後、まったく話題にのぼらなくなるので、視聴者があの人はどうしたのか、手紙のやりとりくらいしないものだろうかと、毎度やきもきする。しばらくすると、ふいに再登場し、実は手紙のやりとりはあったということが説明されたり、されなかったり。推測にすぎないが、あの人どうしているんだろう、と思い出してもらうために、あるいは、サプライズ的に再登場したときの喜びを大きくするため、あえて消息に触れないようにしているのではないか。
関連語:【後出し (あとだし)】【再登場 (さいとうじょう)】
※この記事は「ブギウギ」の各話を1つにまとめたものです。
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