<虎に翼・家庭裁判所編 >10週~14週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第66回のレビュー
茨田りつ子(菊地凛子)が、愛のコンサートのラジオ放送で、寅子(伊藤沙莉)を絶賛したため、東京の御婦人がたが寅子に担当してもらいたいと殺到します。スターの影響力、ラジオの拡散力は大きいということでしょう。寅子がいったいどんな事件をどのように担当したのかさっぱりわからないまま、寅子は人気者になり、取材も殺到しているようです。みるみる、日本で一番有名な裁判官になっていました。
多岐川(滝藤賢一)は愛の裁判所が広く周知されれば満足のようですが、家事部と少年部のふたり、浦野(野添義弘)と壇(ドンペイ)には寅子の発言が咎められます。
第14週「女房百日 馬二十日?」(演出:梛川善郎)は1925年。
寅子はますます忙しくなり、小学生になった優未(竹澤咲子)の面倒をやっぱりちゃんと見ることができません。でも優未はいい子にしています。このままおとなしく何も主張しないままでは収まらないのではないか、絶対あとあと爆発しそうな予感がしますがどうでしょう。ここまで優未の言動がほぼないのは何かあるに違いありません。「虎に翼」は描かれない人こそあとからふいに何かあり、妙にしつこく描かれたことにはあまり意味がない、そんな逆を行く法則を感じます。
忙しいなか、さらに仕事の依頼が。
久藤(沢村一樹)と桂場(松山ケンイチ)が竹もとに寅子を呼び出し、星朋彦(平田満)の書籍の改訂版を出す手伝いをしてほしいと頼みます。
桂場は、団子をむさぼり食いながら、寅子が忙しすぎるとどこかでまた爆発して仕事を放棄するのではないかという心配を、暗に態度で示します。が、寅子はもう昔の彼女ではなさそうです。
星のもとへ向かった寅子は、彼の代わりに現れた息子・航一(岡田将生)と出会います。「あの佐田寅子さん」と言われて、「あの」の意味に引っかかりを覚えます。久しぶりに、寅子の理屈ぽさが発揮されました。あー寅子って最初、こんな感じでした。
航一は嫌味ぽいことを自分から言ったものの、寅子に質問されてもスルーします。曲者感が強く、寅子は、やりづらい、と感じます。これもまた寅子らしさ。
わりと第一印象でネガティブな評価を下します。いい子ぶって裏で黒い声ではなく、見た目も口調も媚びないし、心のなかでも他人に厳しい。これは朝ドラヒロインには今までいなかった。寅子の正直なところが愛されているような気がします。
航一は、朝ドラで時々出てくる、見た目はシュッとしているけれど、変わり者でヒロインと何かとぶつかるキャラでしょうか。
朝ドラ辞典2.0 偏屈(へんくつ)な人「梅ちゃん先生」の松岡(高橋光臣)、「ごちそうさん」の悠太郎(東出昌大)、「なつぞら」の坂場(中川大志)など。見た目はシュッとして頭もいいが、頭が良すぎてちょっと偏屈で、最初はヒロインとなにかとぶつかる。が、やがてかけがえのない存在になっていく。悠太郎や坂場はパートナーになるが、松岡はそこまでに至らなかった。
さて。梅子(平岩紙)は轟法律事務所に居候し、炊き出しの手伝いをするかたわら、竹もとで働いています。竹もとでは学生時代、香淑(ハ・ヨンス)がバイトしていました。たまり場・竹もと。バイトなら竹もと。密談も竹もと。便利なお店です。
ちょうど先日、「CINEMAS+」朝ドラ班で、竹もとのモデルらしい竹むらにお茶をしに行ったのですが、外観も内観もとても雰囲気を似せて作っている気がしました。入口に吊るしてある店名の入った行灯みたいなものがとても似ています。
※この記事は「虎に翼」の各話を1つにまとめたものです。
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