映画コラム

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2019年04月12日

『風立ちぬ』を深く読み解く「10」のこと!

『風立ちぬ』を深く読み解く「10」のこと!


9:ラストの草原が示しているものとは?



最後に二郎はカプローニと草原で再会を果たします。二郎は「最初にお会いした場所ですね」「地獄かと思いました」と言うと、カプローニは「ちょっと違うが、似たようなものだがな」と答えていました。

ここがどのような場所かと言えば……はっきり“死後の世界”でしょう。地獄でもないのであれば、それは天国と地獄の間にある“煉獄”、罪の償いをまだ終っていない死者の霊が、残された償いを果すためにおかれる場所です。



しかも絵コンテの段階では、そこにやってきた菜穂子のセリフは「来て」でした。これは、菜穂子が二郎を天国に誘っているということでしょう。しかし、実際にその「来て」バージョンを作ってみたら、表面的に観て何が何だか分からないシーンになってしまったため、最終的に1文字だけ足して「生きて」という台詞に変えたのだそうです。

二郎は飛行機をカプローニの告げた期限通りに10年間作り続けていたものの、一機も戻ってくることはなかった、本人が言うように「終わりはズタズタだった」、つまりは二郎はその罪を背負ったということです。ラストの菜穂子のセリフを「来て」から「生きて」へ変えることで、二郎は死んで罪を償うこともできない、キャッチコピー通りに「生きねば。」となるのでしょう。

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(C)2013 Studio Ghibli・NDHDMTK

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