映画コラム

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2019年04月12日

『風立ちぬ』を深く読み解く「10」のこと!

『風立ちぬ』を深く読み解く「10」のこと!


4:カプローニ伯爵の正体は悪魔だった?



二郎の夢に出てくるカプローニ伯爵は、実在のイタリアの航空技術者です。彼は少年期の二郎に「飛行機は戦争の道具でも、商売の手立てもないのだ。飛行機は美しい夢だ!設計家は夢に形を与えるのだ!」などと鼓舞している、ある意味では心の師匠とも呼べる存在でしたが……“それだけではない”とも言えます。

実は、宮崎駿はカプローニの声を担当した野村萬斎に、演技指導として「カプローニは堀越二郎にとってのメフィストフェレスだ」と言っています。メフィストフェレスとはドイツの文豪ゲーテによる戯曲「ファウスト」に登場する悪魔であり、「人生の全てを体験させる」ことと引き換えに「死後に魂をもらう」という条件を出しています。その条件を呑んだ主人公は自分の欲求を満たすためにいろいろな酷いことをして、周りの人々を傷つけていってしまうのです。(野村萬斎本人も、初めはカプローニを聖人のような人物であるとイメージしていたのですが、メフィストフェレスであると宮崎駿に告げられてからは「この映画で描かれる夢とは、良いのか悪いのかわからないけれども、“悪かもしれない”という危険を意味するものなのだと感じました」とコメントしています)



そのカプローニは「創造的人生の持ち時間は10年だ。芸術家も設計家も同じだ。君の10年を、力を尽くしていきなさい」ともアドバイスしています。つまり、カプローニは自身の“夢”を見せていることと同時に、二郎が設計家として活躍できる期間は10年しかないとも告げているのです。それこそ、悪魔であるメフィストフェレスが提示した契約のように……。後にも詳しく書きますが、物語の最後に二郎とカプローニが“煉獄”のような場所にいるのも、その悪魔との契約の代償のようにも思えるのです。

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(C)2013 Studio Ghibli・NDHDMTK

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