『風立ちぬ』を深く読み解く「10」のこと!
10:『紅の豚』のあのシーンにも似たラストだった?
ラストで上空にたくさんの飛行機がのぼっていくと言う光景は、『紅の豚』における、死んだはずの親友が向かって行った“ずっと高いところにある一筋の不思議な雲”にも似ています。こちらでは主人公のポルコが「お前はずっとそうして一人で飛んでいろって言われた気がしたがね。それに、あそこは地獄かもしれねえ」と、“死んだ者がいる場所に行くことができずに生きるしかない”という物言いをしていました。
そして、『風立ちぬ』で「生きて」と言った菜穂子は、姿が透けていき、大空に溶け込むかのように去っていきました。それこそ、カプローニの言う「美しい風のような人だ」と言うように……。これは、菜穂子が願った(しかし実際に二郎が最期まで付き添えなかった)「美しいところだけを見てもらいたい」という願いそのもの。そして、『紅の豚』のポルコが言った「天国などには行けずにまだ生きるしかない」と同様に、二郎に生きることを選択させる言葉なのです。
宮崎駿は『紅の豚』において自分をモデルとしていたと語っていましたが、『風立ちぬ』では主人公を豚ではなくリアルな人間の姿にしたことで、徹底的に自己の「兵器が大好きだけど戦争のことは大嫌い」という矛盾を問い直した作品であるとも言えるでしょう。最後に二郎が告げた「ありがとう、ありがとう」も、作品を作り上げることができたこと、それを包括した宮崎駿からの感謝の言葉でもあるのかもしれません。
※『紅の豚』についてはこちらの記事も参考にしてみてください↓
□『紅の豚』ポルコはなぜ豚になったのか?その疑問を解き明かす5つの事実
参考図書
風立ちぬ 宮崎駿の妄想カムバック(大日本絵画)
ジブリの教科書18 風立ちぬ(文春ジブリ文庫)
(文:ヒナタカ)
→『風立ちぬ』の画像ギャラリーへ
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