「青天を衝け」実業<算盤>編、感想・解説集|第32話から最終回<ネタバレあり>
大河ドラマ「青天を衝け」は、第32話より実業<算盤>編へと突入。いよいよ「論語と算盤」の話へと進んでいく最終章へ突入だ。
本記事では第33話以降の感想と解説をcinemas PLUSライターが記していく。
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第32話「栄一、銀行を作る」感想・解説集
第32話のあらすじ
栄一(吉沢 亮)は明治政府を辞め、第一国立銀行の総監役として、新たな道を歩み始める。開業後、駆けつけた五代友厚(ディーン・フジオカ)は、“商いは化け物”、魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)していると栄一に助言する。そのころ、三菱を率いる岩崎弥太郎(中村芝翫)は、大蔵卿に就任した大隈重信(大倉孝二)と結びつきを強め、海運業で急成長していた。そんな中、ゑい(和久井映見)が体調を崩し、東京の栄一のもとに身を寄せることに…。
第32話の感想
3年半勤めた大蔵省を辞め、政府を去った栄一。幼い頃から旧知の仲である喜作(高良健吾)にも「お前の変わり身の早さにはついていけん」と言われているが、その通り、栄一には「これだ!」と思ったらすぐに行動に移すフットワークの軽さがある。
周囲の人間は振り回されることもあるだろうが、栄一の意思を継ぎ、政府に残る杉浦(志尊淳)などもいる。日本のため世のために行動しながらも、支えてくれる人間のことも忘れない思いやりが、栄一には備わっている。
官から民の世界へ腰を据えた栄一が「やりたい」と望むことは、合本銀行の設立、それによる身分格差の解消だ。
お役人が偉くて商人が卑しいーー日本を良くするためには、この構造から変えなければいけないんだと栄一は語る。お上だけが悪いのではなく、商人側の考え方も良くない。お役人の顔色ばかり窺うのではなく、目の前の仕事に志を持って向き合わなければいけないのだ、と。
栄一の熱い志は、明治4年の第一国立銀行開業によってスタートを切った。
西洋式の帳簿の付け方を学んだり、三井・小野組の小競り合いを仲裁したり、前途は多難である。しかし、ちょっとやそっとのことで心が折れる栄一ではない。人の手を結ばせる秘訣こそカンパニーの設立にあると信じ、自分の選んだ道を突き進んでいる。
しかし、そんな彼にも試練がやってきた。
父・市郎右衛門(小林薫)に続き、母のゑい(和久井映見)も命を引き取ったのだ。
「あんたが嬉しいだけじゃなく、みんなが嬉しいのが一番」
かつて栄一が幼い頃、そう諭してくれた母。自分の利益だけじゃなく、周囲の人たちにとってもメリットのあることをすべき。その教えが、「日本をより良くしたい」という栄一の思い、そして銀行設立に繋がっているのだと思うと、感慨深い。
栄一には確かに、無鉄砲で雑なところもある。しかし、優しさと愛でもって、大きな仕事を推し進める胆力もあるのだ。官から民へと活躍の場を変えた栄一。これからは、どんな姿を私たちに見せてくれるのだろうか。
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