国内ドラマ

REGULAR

2021年12月27日

「青天を衝け」実業<算盤>編、感想・解説集|第32話から最終回<ネタバレあり>

「青天を衝け」実業<算盤>編、感想・解説集|第32話から最終回<ネタバレあり>


第38話「栄一の嫡男」感想・解説集

第38話のあらすじ


栄一(吉沢 亮)や旧幕臣たちは、徳川家康の江戸入城三百年の節目を祝う「東京開市三百年祭」を開催。昭武(板垣李光人)らと再会し、旧交を温める。栄一の気がかりは、汚名を被ったまま静岡でひっそりと暮らす慶喜(草彅 剛)のことだった。一方、渋沢家では、息子・篤二(泉澤祐希)が、跡継ぎの重責から逃れるかのようにある過ちを犯してしまう。栄一は、篤二を退学させ謹慎を命じる。そして、明治27年夏、日清戦争が起こる。

第38話の感想

多くの産業に携わり、ついに議員にまでなった栄一。銀行業を中心に、製紙・紡績・金鉱・炭鉱・鉄道・建築などなど、その種類は多岐にわたる。日本の国際化を推進するため、女性育成の学校運営に勤しむとともに、病院や養育院などの福祉施設も積極的に建設していった。

そんな栄一を含め、渋沢家の悩みの種となりつつあるのが、長男・篤二(泉澤祐希)である。

決して品行方正とは言えない篤二。女性問題については何度も同じ過ちを繰り返しており、長女・うたにも度々、苦言を呈されている。

「この家は、あなたが継いでいくのですよ。お願いだから自覚を持ってちょうだい」と言われるも、遊び癖が抜けないまま熊本の寮付き学校へ進学することに。規則正しい生活環境で少しは矯正されると思いきや……女性を連れて大阪へ逃げてしまった、との知らせが。

ついに痺れを切らした栄一は、血洗島へ篤二を謹慎させることに。「よくよく謹慎し、お詫びします」と丁寧に請け合うあたり、そこまで遊び人には見えないのだけれど。

彼が遊びを繰り返してしまうのは、母・千代を失ってしまった悲しみから脱しきれないのも、理由のひとつとしてあるだろう。いつかは長男として渋沢家を継がなければいけない、その強いプレッシャーに耐えられないがあまり、現実から目を背けたくなってしまうのではないだろうか。

この篤二を演じる泉澤祐希、どこかで見たことがあると思ったら、朝ドラ「ひよっこ」で三男を演じていた子だ。有村架純演じる、みね子の友人役だった。出演作品が少しずつ増えていて、嬉しい。

第38話は、徳川の世を忘れないため、慶喜の伝記を残したいと願う栄一の思いで幕を閉じる。この時代、未だ「徳川慶喜」は「逃げた将軍」と同義語であった。彼が何を思い、何をし、何を残したのか。明確な言葉で記しておきたいと希望する栄一の意図を思うと、歴史の重厚さを感じる。

「世捨て人だと思われてもいい」と曖昧にはぐらかそうとする慶喜に対し、真っ直ぐな目で「諦めません」と返した栄一が凛としていた。彼との別れも、すぐそこに迫ってきている。


無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

©NHK

RANKING

SPONSORD

PICK UP!