「青天を衝け」実業<算盤>編、感想・解説集|第32話から最終回<ネタバレあり>
第40話「栄一、海を越えて」感想・解説集
第40話のあらすじ
アメリカでは日増しに排日の機運が高まっていた。実業の第一線を退いた栄一(吉沢 亮)は、日米関係を改善しようと妻・兼子(大島優子)と渡米。特別列車で全米60の都市を巡り、民間外交に奔走する。しかし、その道中、長年の友、伊藤博文(山崎育三郎)暗殺の知らせが飛び込む。一方、渋沢家では、篤二(泉澤祐希)が再び問題を起こし、責任を感じた栄一は苦渋の決断を下す。そんななか、慶喜(草彅 剛)の伝記の編纂(へんさん)は大詰めを迎えていた。栄一は慶喜から意外な言葉を聞かされる。第40話の感想
第一線を退いた栄一は、民間外交を推し進めるためにアメリカへ。明治42年(1909年)のアメリカは石油の時代を迎え、急激に発展を遂げている。西部を中心に日本排斥の潮流が高まりつつあるアメリカにおいて、親切に対応してくれるアメリカ人もいれば、そうではない人も……。栄一の「親切な人もいれば、憎しみを持つ人もいる。どの社会もそうだ」の言葉が身に沁みる。時代や場所が変わっても、思いは伝わらないこともあると知っていなければならない。
当時の米大統領は「ピースフル・ウォー(平和の戦争)」といった言葉を使った。兼子(大島優子)も言っていたように、戦争という言葉は不穏な空気を伴う。国同士、切磋琢磨し合うことは社会発展には繋がるかもしれない。しかし、戦争という無益な営みに通じてしまう不毛さも同時に、私たちは感じてきた。
商業会議所でのスピーチで、栄一は言った。準備してきた紙を読み上げるのではなく、自身の言葉で。「相手をきちんと知る心があれば、無益な争いは避けられたはず」……。日本人は、敵ではない。今こそ「No war」であると。
栄一の思い虚しく、伊藤博文は暗殺され、日本は第一次世界大戦へと向かっていく。長男・篤二(泉澤祐希)は女遊びの癖が抜けず、その息子(栄一から見て孫)・敬三(笠松将)へ後継ぎを変える動きまで。
栄一の思いは消えずとも、世界は無常に回っていく。次回、最終回。栄一はどんなラストメッセージを残してくれるのだろうか。
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