「青天を衝け」実業<算盤>編、感想・解説集|第32話から最終回<ネタバレあり>
第39話「栄一と戦争」感想・解説集
第39話のあらすじ
栄一(吉沢 亮)は、ホワイトハウスでルーズベルト大統領と会談。日本の軍事面のみが注目され、経済への評価がまだまだ低いことを痛感する。やがて、日露戦争が勃発。財界の代表として戦争への協力を求められた栄一は、公債購入を呼びかける演説をするが、その直後に倒れてしまう。栄一の見舞いに訪れた慶喜(草彅 剛)は、“生きてくれたら、自分のことは何でも話す”と、涙ながらに語りかける。栄一たちは、慶喜の功績を後世に伝えようと、伝記の編纂(へんさん)を始める。第39話の感想
日清戦争に勝利したことにより、海外各国から注目を浴びる日本。商工業こそ褒めてほしい栄一の希望むなしく、賞賛されるのは軍事力ばかり。しかし、そんな逆境はますます栄一の活力に変換されるだけのようだ。栄一の活躍が世界に広まるにつれ、長男・篤二(泉澤祐希)も積極的に家業を手伝うようになる。「悲憤慷慨」したあの時から、30年。喜作(高良健吾)、淳忠(田辺誠一)とともに、これまで辿ってきた歴史に思いを馳せる。あらためて慶喜(草彅剛)に会った二人は、つらさ、苦労を労ってくれた「かつての上様」に対し、純粋な感謝から涙を流した。どんな思いで、ここまで来たか。それを思うと、視聴者にとっても感極まる場面だ。
そんな矢先、どんどん強まっていくロシアの勢力。日露戦争が勃発し、国債購入を要望する責務を担った栄一は、やがて「売国奴」と野次を受ける立場になっていく。世論はこうも簡単に端から端へ意見が変わるのか……と現代に通じるものを感じてしまった。しかし、栄一は自分の進むべき道を見失わない。
病に冒され一旦は床に入る栄一。しかし、慶喜が「生きていてくれれば何でも話そう」と伝記の編纂に協力する意思を見せたことで、みるみる回復する胆力を見せる。
「人には、生まれついた役割がある」
慶喜が語ったこの言葉には、栄一、そして篤二の心をも打つ力を持っていた。この先、日本のために何ができるのか。何をすべきではないのか。各々の立場で考え、それぞれの答えが出たことだろう。その答えを、次回に見せてくれるのだろうか。
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