「青天を衝け」実業<算盤>編、感想・解説集|第32話から最終回<ネタバレあり>
第37話「栄一、あがく」感想・解説集
第37話のあらすじ
政府の命により、再び岩崎弥太郎(中村芝翫)に対抗するため、海運会社・共同運輸会社が設立された。しかし、栄一(吉沢 亮)は、千代(橋本 愛)を亡くして憔悴(しょうすい)していた。その様子を見かねた知人らの勧めで、栄一は伊藤兼子(大島優子)と再婚する。共同と三菱が熾烈(しれつ)な競争を繰り広げ、両社消耗していく中、突然、弥太郎が病に倒れる。これ以上の争いは不毛と、五代友厚(ディーン・フジオカ)は、栄一と弥太郎の弟・岩崎弥之助(忍成修吾)との間を取り持とうとする。
第37話の感想
お千代が死去してからというもの、栄一の気持ちは不安定で、どうも様子がおかしい。岩崎弥太郎が率いる三菱との熾烈な競走争いにおいても、「刺し違えてでも勝負をつける」と言ってヒートアップしていく始末。伊藤博文(山崎育三郎)に「らしくない」と苦言を呈されるまで、栄一が正気を取り戻すことはなかった。そんな栄一は、大島優子演じる兼子と再婚。お千代の逝去後まもなくのことで、長女・うた(小野莉奈)や長男・篤二(泉澤祐希)は複雑な思いを隠せない。兼子としても居心地が良いわけはなく、「きっと私は一生をかけても、奥様の代わりにはなれません」とやがて離縁の意を告げるが……。
その頃、岩崎弥太郎、そして五代友厚が死去。それをきっかけに、競走争いをやめた三菱と共同は合併することになった。そもそも「すべての商いはすべての民のために」をモットーに、人のため世のための行動を指針としてきた栄一にとって、ライバルとの不毛な争いを続けていたこと自体がおかしかったのだ。
手に手を取り合い、人のためにできることを考える。日本を良くするために、どんな商いができるのかを検討する。それが、視聴者の見てきた栄一の姿だろう。
一度は栄一へ離縁の意を告げた兼子だったが、栄一からの熱心な言葉かけによって留まることを決意した。これまでも、栄一はたくさんの人に支えられ、守られながら進んできた。「立派な人でもなんでもない、どうか自分のことを叱って、力を貸してください」と頭を下げた彼の姿に、ほだされる気持ちはわからなくもない。
存続の危機であった東京養育院も、兼子の働きかけで解散を免れた。「奥様の代わりにはなれない」と一度は心を折った兼子。しかし、お千代の思いは無事に受け継がれている。
次回にかけて気になるのは、栄一の長男・篤二の動向である。歴史的に見ても、彼は少々問題児だったようだ。物語ではどのように描かれるのだろうか。
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