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2021年12月27日

「青天を衝け」実業<算盤>編、感想・解説集|第32話から最終回<ネタバレあり>

「青天を衝け」実業<算盤>編、感想・解説集|第32話から最終回<ネタバレあり>


第34話「栄一と伝説の商人」感想・解説集

第34話のあらすじ

栄一(吉沢亮)は、伊藤博文(山崎育三郎)の依頼で、商人たちが業種を超えて手を組むための組織、東京商法会議所を作る。一方、はじめて養育院を訪れた千代(橋本愛)は、身寄りのない子供たちの寂しげな姿に心を打たれ、世話をしたいという思いを強くする。

そんな中、栄一は岩崎弥太郎(中村芝翫)から宴席に誘われる。栄一と弥太郎は、商業で国を豊かにしようと意気投合するが、その手法を巡って激論、意見は真っ向から対立し、会合は物別れに終わる。

第34話の感想

政府の税収の9割が戦費に投入された時代。成功した者はどんどん豊かになっていくが、貧しい者はどんどん貧しくなっていく。日本をより良い国にしたい一心で、外国に負けない一等国に育てることを目標に、合本銀行をつくった栄一。しかし、なかなか世の中は栄一の理想には近づかない。

国益のために銀行をつくったのと同じように、栄一は「東京養育院」の設立にも尽力した。大人・子ども問わず、貧しく身寄りのない者たちを引き受ける施設である。

「貧しい者が多いのは、政府のせいだ」

当時はきっと、現代よりも「貧乏人は貧乏人で頑張ったらいい」といった風潮が強かったのではないだろうか。お金や仕事がないのも、病気がちなのも、運が悪いのも、すべて当人の責任。自分のことは自分で面倒をみる、と己の意思を固めるのはいいが、それが他人からの強要だと途端に据わりが悪くなる。

栄一とともに、東京養育院へ様子を見にきたお千代。設立当初の荒んだ様子からは少しずつ快方に向かっているようだが、まだまだ手放しに喜べる実情とはいえない。破れた着物を繕うお千代と子どもたちの姿が、なんとも微笑ましく、いじらしくもある。

こういった「政府のせいで貧しくなった」者たちを救いあげるために、栄一は行動を起こしているのだ。合本銀行や東京養育院の設立、そして、商人の会議所(=東京商法会議所)もそれにあたる。即効薬ではないかもしれないが、長期的にみれば、必ずすべての民に浸透する特効薬になると信じて。

日本経済の発展のため、三菱の岩崎弥太郎に尽力を請おうとしていた栄一。しかし、合本銀行の在り方に疑問を呈する岩崎とは、仲違いに終わってしまう。「口説きがいのある男だ」と言っていた岩崎、今後も何らかのアプローチを仕掛けてくるのだろうか。

立場や時代が変わっても、栄一の行動原則は変わらない。


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