<シジュウカラ>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
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5年ぶりに再会した忍(山口紗弥加)と千秋(板垣李光人)。そこで千秋は、親密そうな忍と岡野(池内博之)を目にしてしまう。忍のことが気になる千秋だが、同棲中のみひろ(山口まゆ)と目の離せない母・冬子(酒井若菜)との日々に忙殺される。だが、忍が岡野と付き合い始めたことを知った千秋は、漫画を通して忍への強い思いを再びぶつけ始める。しかし、忍はそれを受け入れず…果たして忍の気持ちとは。
第9話のレビュー
思いがけない再会を果たした忍(山口紗弥加)と千秋(板垣李光人)。
「おめでとう」と千秋の結婚を祝福する忍。しかし、千秋は「なんのことでしょうか」ときょとん。身に覚えがないようだ。妻と名乗っていたみひろ(山口まゆ)が一気にあやしくなる。
忍に会ったことを幼なじみの星宙(榊原有那)に話す千秋。「すごっ、運命じゃん」と驚く星宙はママになったらしく子どもと一緒だった。表情も以前より明るく幸せそう。この星宙の笑顔が、今回唯一ホッとさせてくれたものだった。
前回激しく揉めた忍と洋平(宮崎吐夢)はついに離婚。離婚届を前に「今までごめんね」と笑顔で謝る洋平だったが、彼が優しい態度を見せてももはや白々しさしか感じないのは筆者だけではないだろう。
自分の貯金はもらう、息子の学費は任せるなど、都合のいいことを言いだす洋平に、今住んでいるマンションは自分の名義だから2か月以内に出ていってと忍は言い渡した。
物語が進む中、千秋とみひろの関係も明らかになる。結婚はやはり嘘。みひろは千秋の同居人だった。売春の経験を綴った千秋のデビュー作を読んで、「同じ傷を持っている」と連絡してきた彼女を千秋が家に迎え入れて一緒に暮らしてきたのだ。ただ、泣きながらすがったり外で帰りを待ったりと、明らかに千秋に過度な依存をしているみひろ。心がすでに健全ではないようで、千秋もたぶんそれをわかっている。
千秋に依存するという点では、彼の母・冬子(酒井若菜)も相変わらず。電話口で「助けて!」と叫んだ母を迎えに行った千秋が見たのは、酔っぱらって男性に絡んでいる冬子の姿だった。
千秋におんぶされて「あたしさ、演技うまくない?」と悪びれない冬子。憎めない感もあるのだが、身勝手なことに変わりはない。
自立したのに、結局また周りの女性たちに寄りかかられている千秋。しかし、忍との再会や岡野(池内博之)から「そんなんじゃ佐々木先生(忍)と差が開く一方」と叱咤されたことで心が動いたのか、デビュー作の続編にとりかかる。
描き上げたネームを岡野に見せる千秋。忍とのことが描かれたその原稿に「年上女性への憧れか母親を求める子供のようにも見える」という感想を岡野は示す。千秋と忍の再会を目にしていた彼。何か感づいて牽制しているようにも感じられる。
その後家に戻った千秋は、「このままじゃだめだと思う」とみひろに切り出す。なんでもするからここに置いて……と泣き出すみひろ。自分も千秋も汚れている、一緒にいれば誰も自分たちを傷つけられない……と訴える彼女は、千秋よりさらに深刻な傷を抱えているのかもしれない。
結局みひろを残して家を出た千秋は、忍の元をたずねる。かつて忍がしてくれたように自分もみひろを助けたかった……と語る千秋に、忍は「橘くんを助けようなんて思ったことないよ」と答える。彼女は千秋に前を向いて幸せになってほしいと思っていただけ。なぜなら、千秋が好きだったからだ。
実はデビュー作を描き上げた後、出来上がった本を手にして忍の家に行った千秋。しかし、既に忍は引っ越してしまっていた。そのときから千秋の心の時計は止まっていたのかもしれない。忍はともかく、彼の恋はまだ終わっていなかった。忍を抱きしめて思いを告げる千秋。彼の「もうだまってどっか行ったりしないでよ……」という言葉に筆者は胸がつまりそうになった。
離婚はしたが既に岡野という相手がいる忍。千秋の想いをどう受けとめるのか。
※この記事は「シジュウカラ」の各話を1つにまとめたものです。
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