<純愛ディソナンス>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
>>>「純愛ディソナンス」第8話の予告をYouTubeで見る愛菜美(比嘉愛未)との離婚を決意した正樹(中島裕翔)は、いまの自分にケリをつけて必ず迎えに行くから待っていてほしい、と冴(吉川愛)に告げる。「逃げるのはもうやめだ」という正樹の言葉を信じる冴。そこに、路加(佐藤隆太)から電話が入った。愛菜美が繁華街でひったくりに遭い、転倒した際に頭を打って病院に運ばれたという知らせだった。
正樹が病院へ向かうと、治療を受ける愛菜美の傍らには路加と警察官の姿があった。警察官によれば、愛菜美から連絡を受けて駆けつけた路加のおかげで、大事には至らなかったらしい。治療を終えた愛菜美がマネージャーに連絡するために席を外した際、正樹は、碓井家に復讐したいのなら勝手にすればいいが愛菜美を利用するな、と路加に忠告する。すると路加は、愛菜美を一番利用し、追い込んだのは正樹だ、と言い放つ。
シェアハウスに戻った冴は、慎太郎(髙橋優斗)に正樹のことが好きだと打ち明ける。「わかった」とだけ言い残してリビングから出て行く慎太郎。そこに現れた静(富田靖子)は、相手に依存してラクしているだけだと冴を非難する。「いまのあんたは、私からお父さんを奪った女と同じ」。静は冴にそう告げた。
正樹は、愛菜美を連れてマンションへ戻る。あくる朝、正樹が目を覚ますと、愛菜美が朝食の準備していた。そこで愛菜美は、もし正樹が必要としているのなら、冴をセカンドパートナーとして認めてもいい、と言い出し……。
第8話のレビュー
もう嘘はつかない。自分の気持ちに素直になることを決めた冴(吉川愛)と正樹(中島裕翔)。しかし、二人の純愛が耳を塞ぎたくなる不協和音を響かせていく。「少し待っててくれないか。今の自分にケリをつけて必ず迎えに行くから」
正樹は冴にそう約束する。相手が自分の気持ちにケリをつけるまで待つ……その立場に置かれていたのは前話まで、冴ではなく慎太郎(髙橋優斗)だった。
何年も冴を思い続けて、ようやく報われた矢先に違う人が好きだと告げられる。慎太郎の気持ちを思うだけで胸が張り裂けそうに痛い。
かたや、頭を強く打って病院に運ばれた愛菜美(比嘉愛未)の元に駆けつけた正樹は、路加(佐藤隆太)から「散々愛菜美を利用した挙句に突き放す」と非難される。
しかし、覚悟を決めた正樹はもう揺らがない。救ってもらったことに感謝しつつも、愛菜美に別れを告げる。意外だったのは、愛菜美が自分からも、父・賢治(光石研)の会社からも正樹を解放したことだ。
でも、これで冴と正樹は傷つけられる側から傷つける側に回ってしまったことになる。本作が凄いのは、これまで不憫に思えていた二人が今話で一気に身勝手な人間に見えてしまうことだ。見方を変えれば、立場が変われば、向けられる眼差しは180度違ってくる。
冴と正樹が幸せを享受すればするほど、周りが不幸になっていくのが恐ろしい。愛菜美は愛する正樹を失い、自分にたった一つ残った小説さえも書けなくなって、精神を病んでいく。
温かい愛で冴を包んできた慎太郎さえも、正樹との仲を引き裂くために陳腐な行動に出てしまう。そんな慎太郎をそばで見てきた莉子(畑芽育)は冴への不信感を募らせていき、彼らが暮らすシェアハウスは崩壊の一途を辿っていくのだった。
たしかに冴の行動は、慎太郎への配慮が欠けていた。だが、もう崖っぷちギリギリのところにいた慎太郎をそこまで突き落としたのは、また違う人物のような気がする。
というのも、ここにきて急に晴翔(藤原大裕)が不穏な動きを見せているからだ。晴翔の言葉は完全に慎太郎を煽っているように思えたし、何やら彼の家庭環境にも秘密がありそう。
達観した恋愛観、父親と縁を切っているという事実……やはり由希乃(筧美和子)を殺害した加賀美(眞島秀和)の息子なのではないだろうか。
加賀美が由希乃と不倫していたことを突き止めたのは冴で、加賀美を追い詰めたのは正樹。その事実を晴翔が知っていたのだとすれば、二人に恨みを持っていてもおかしくはない。周りを焚きつける発言も納得がいく。「君も他人事じゃないだろ」という加賀美の台詞は、壮大な伏線だったのかもしれない。
愛は、純粋すぎると毒になるーー。そのキャッチコピー通り、本作は冴と正樹の純愛を純愛のまま終わらせてくれない。
※この記事は「純愛ディソナンス」の各話を1つにまとめたものです。
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