<舞いあがれ!・ 航空学校編>8週目~11週目の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第54回のレビュー
帯広校での最終審査を終えて、舞(福原遥)も柏木(目黒蓮)もクリア。厳しかった大河内教官(吉川晃司)にこれから目指すべきものについて強く決意表明し、帯広課程無事終了。ホッとした休日、ふたりは公園デートに出かけます。おめかし(あえてこの言葉を選択してみました)した舞はデートを楽しみ、柏木の告白に応えます。展開早っ。
【朝ドラ辞典 展開早い(てんかいはやい)】朝ドラは半年という長い放送期間があり登場人物の半生や人生をたっぷり描けるところがいいところとはいえ長い人生をなぞるには短い。そこでどこかをはしょる必要がある。そこもうちょっと丁寧に時間をかけて描いてほしいと思うところをスキップするように進めてしまうことがある。視聴者は「展開早っ」と思うのである。
厳しいフライト課程でいろんなことを学びながら、友情も育み、初恋(両思い)を経験と、帯広の時間は、舞があとで振り返ったらじつに濃密であったことでしょう。
「これからも一緒に空飛びたいです」と心まで舞い上がる。木曜日なのに週の終わりかと思いました。本来の週の終わりとなる明日、第55回は何があるんやろ……。
さて、第54回は、セリフについて考えてみたいと思います。前述した「一緒に空飛びたいです」は
パイロットとして空を飛ぶことと、舞と柏木が互いを好きになって心が舞いあがっていること、かつ、ふたりで共に歩んでいくことなど、いろいろな意味を重ねることができますね。
このような掛詞は短歌でよく使われます。
舞が貴司(赤楚衛二)から送られた短歌にも「トビウオ」と飛ぶ魚が描かれています。「飛ぶ」「舞いあがる」から連なっていく言葉をところどころに置いていくのは、歌人でもあるメインライター桑原亮子さんらしい趣を感じます。
情緒あるセリフの一方で、ドラマには説明セリフというものが存在します。状況をセリフにして見てる人に情報伝達するためのセリフは退屈なものになりがちで視聴者から「説明セリフ」と見抜かれてしまいます。でもその説明を俳優の力で退屈にしないいい例が、山下教官(板倉チヒロ)です。冒頭、最終審査の段取りを語る彼は、クセの強い、英語を交えた喋り方で、説明セリフを楽しく聞かせてくれました。
もうひとつ、専門的な言葉。これも説明セリフのようなものですが、第55回で、柏木がデート先で馬の話をする場面。馬好きな柏木らしく詳しく話していますが、このとき柏木は実に楽しそうで、彼の性格が滲み出ています。得意なことを話すとき、人はリラックスしています。それを舞が嬉しそうに聞いています。
アイスを買ってきてくれた柏木に「迷ってました?」と聞いて「ちょっと」と応えるところも、柏木が運転中迷子になったことを思い出します。
出会いの面接での馬のうんちくから迷子、アイスまで、柏木と舞のこれまでがデートのなかで振り返りになっているのです。回想場面をいれず、ちょっとしたセリフと行動でそれをやったことを評価したい。
※この記事は「舞いあがれ!」の各話を1つにまとめたものです。
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