続・朝ドライフ

SPECIAL

2023年08月12日

<らんまん・植物学者編>16週~20週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<らんまん・植物学者編>16週~20週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】


「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。

「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。

CINEMAS+ではライター・木俣冬による連載「続・朝ドライフ」で毎回感想を記しているが、本記事では、万太郎が苦難に見舞われながらも植物学者の道を進む16週~20週までの記事を集約。1記事で感想を読むことができる。

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もくじ

・第76回のレビュー

・第77回のレビュー

・第78回のレビュー

・第79回のレビュー

・第80回のレビュー

・第81回のレビュー

・第82回のレビュー

・第83回のレビュー

・第84回のレビュー

・第85回のレビュー

・第86回のレビュー

・第87回のレビュー

・第88回のレビュー

・第89回のレビュー

・第90回のレビュー

・第91回のレビュー

・第92回のレビュー

・第93回のレビュー

第94回のレビュー

・第95回のレビュー

・第96回のレビュー

・第97回のレビュー

・第98回のレビュー

・第99回のレビュー

・第100回のレビュー

・「らんまん」作品情報



第76回のレビュー

三連休の最終日、月曜日から、ずいぶんと辛気臭い話からはじまったものです。藤丸(前原瑞樹)の「こんなに執念深い人たちが世界中にひしめいてて」という言葉に胸がしめつけられました。

第16週「コオロギラン」(演出:津田順子)は、万太郎(神木隆之介)大窪(今野浩喜)が日本ではじめて植物に学名をつけた喜びと、田邊(要潤)が悲願のトガクシソウの発表を伊藤孝光(落合モトキ)に先んじられた悲しみからはじまります。

「伊藤家の執念だな」と徳永(田中哲司)は冷静です。
「これが学者の世界だ 新種の発表は一刻を争う」とも。だからこそ、万太郎たちのヤマトグサは快挙なのです。

「教授には運がなかった」と言うのは波多野(前原滉)で、万太郎たちは運が良かったということ。それを聞いた藤丸が「やだなあ」とぼやきます。この「やだなあ」の響きが最高。
「こんなに執念深い人たちが世界中にひしめいてて 運が悪かったで済まされて 研究って それに立ち向かうことですか?」
(藤丸)
それに「やられたらやり返すしかねえだろ」と大窪はいいとこのお坊ちゃんに見えないやけにガラの悪い口調で反論。

「ひとりひとりが自分と戦う戦さ場なんだ」
(徳永)

と徳永も言います。

藤丸って弱くてやさしい人。でも、世界と戦う最前線ではその弱さややさしさは邪魔になります。だから彼が研究室にいる以上、変わらなくてはいけない、強くならないといけない。でもーー。

プレッシャーに耐えかねた藤丸は、うさぎを愛でて心を癒やしています。とはいえ、たいていの人が、そんなに躍起に世界を目指してはいないので、藤丸のような考え方が一般的でしょう。万太郎たちのような高みを目指している人たちは一握りです。世の天才たちは、執念深く、自分と戦って、まだ誰も見たことないものを獲得するのです。

すばらしい仕事には「執念深さ」がつきまとう。自分との戦いで、コツコツやる分にはその執念深さはいい方向に発揮されますが、場合によると、他者をだしぬき蹴落とすことに発揮されるのです。

ただ、ひたむきにやることをやっていれば報われるのではない。でも、そんな世界に耐えられない人も、藤丸のようにいるのです。あー、生きるのってしんどい。

「誰が発見したって花は花じゃないですか」という藤丸のセリフは真意です。
人は、なぜ、奪い合うのでしょうか。
これ、花に限ったことじゃ全然ない話ですよ。

植物学研究室が戦場に見えてきて。まっしろで大きなうさぎがいなかったら、辛すぎた。
うさぎ、いつの間にか、3匹に増えていました。

※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

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(C)NHK

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