<らんまん・植物学者編>16週~20週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第95回のレビュー
遍路宿の少年・虎鉄(寺田心)の案内で出会った見たことのない植物に眼を輝かせた万太郎(神木隆之介)。4ヶ月の放浪の旅を終えて、東京に帰って来ました。
万太郎が連れ帰った植物を「お酒に浸かったヤッコさん」(ホルマリン漬け?になっている)と表現する寿恵子(浜辺美波)は、万太郎からこの植物が「帽子がとれると女になる」(帽子のような雄しべのなかに雌しべがある)と知ってびっくり。
栄養は椎木に寄生して取ることも含め、独特な植物のようで、これを研究するにはお金がかかる。万太郎は寿恵子にお金の工面を頼みます。
「得体がしれない。仕方ない! 借りましょう。どうにかなります。いえ、どうにかします」とたのもしい寿恵子。
「得体がしれない」から「借りましょう」って寿恵子の思考回路がどう繋がっているのか謎ですが、万太郎はほんとうにすばらしいパートナーと出会ったものです。
この植物は木に寄生していましたが、万太郎は実家や妻に寄生しています。
藤丸(前原瑞樹)と波多野(前原滉)も変わらない友情で、万太郎を助けます。
藤丸、波多野、万太郎の3人で調べた結果、新種だとつきとめ、「ヤッコソウ」と名付けます。寿恵子が「ヤッコさん」と言ったからですね。
学術名には、虎鉄の名前を入れます。虎鉄の名前を勝手に使用するのではなく、ちゃんと報告とお礼の手紙を書きます。
虎鉄からの返事を読んだ万太郎は、ひとりではないと勇気づけられます。
藤丸、波多野もいて、何より寿恵子もいて。全然ひとりではないです。万太郎は人に恵まれているのです。いろんなものに寄生しているのです。寄生したっていいことは、植物の生態からわかります。動植物は寄生していても誰にもそしられません。
それに、万太郎は自分のやりたいことばかりしているように見えますが、植物に夢中で、自分のことはあとまわしです。
なにしろ、名前にこだわる万太郎ですが、自分の名前を名乗るのはかなり後。虎鉄に聞かれてはじめて名乗るのです。
田邊(要潤)がつくった新しい植物図鑑を見て、さぞ怒りや悲しみが湧いたと思いますが、冷静に受け止めていました。
そういう人だから、植物を通じて、自然と人が集まってくる。
大事なのはビジョン。目的。
フランスの哲学者・ルソーの言葉に「広場のまんなかに、花で飾った一本の杭を立てなさい、そこに民衆を集めなさい、そうすれば楽しいことが見られるのです」という言葉があります。
長屋が広場であるように、万太郎も、広場に花で飾った一本の杭を立てて、そこに人が集まってきているのです。
先週、今週と陰鬱な話が続いて、どうなることかと思いましたが、明るい前向きな気持ちで週の終わりを迎えることができました。
寄生することは悪いことではないのだ!
※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。
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