<らんまん・植物学者編>16週~20週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第98回のレビュー
「美しいきこそ 強い」
(佑一郎)
ミシシッピの橋の工事に参加していた佑一郎(中村蒼)が帰って来ました。
寿恵子(浜辺美波)が気を利かせて子供たちを連れて席を外し、
万太郎(神木隆之介)と佑一郎は二人きりで、積もる話を語り合います。
寿恵子は白玉を食べに行こうと言ってましたが、あんなに借金していて、白玉を食べるお金はあるのか心配になります。
路地を歩いているとき、男の子が躓いたのは、たぶん偶発的なことでしょう。転ばなくてよかった。
佑一郎は橋の機能美を称え、「美しいきこそ 強い」という認識に到達しました。それを万太郎は理解します。植物はどれも美しく、強いですから。橋も、植物も、虚飾がない。余分なものがない。その姿はすべて、何かを行うのに必要なもので成り立っています。削ぎ落とされたものは美しい。
ふたりの目の前には洗濯した浴衣が干してあります。浴衣もシンプルで美しい。
でも佑一郎は、アメリカで人間のすばらしさを目の当たりにすると同時に、人種差別のおそろしさも味わっていました。北部と南部で繰り広げられている戦争の元は奴隷制、それもつまり奴隷差別で……。
それを語るとき、彼は、紙風船を持っています。赤、黄色、緑、白……紙風船は色々な色が張り合わせてできています。こんなふうに色々な肌の色の人たちが調和した世界になればいいのです。
万太郎は植物に優劣をつけず、同等に扱っています。
でも、紙風船を万太郎は、ぱしっと部屋の奥にはたき入れてしまいました。ここは、紙風船を大事に抱えてほしかったかも。いや、絶望の表れか…。
佑一郎は北海道で教授になると言います。出世です。
出世していた田邊(要潤)は、突然、女子学校廃止を知らされます。事前に聞かされるのではなく、いきなり官報で知るのはショックでしょう。
目をかけてくれた森有礼(橋本さとし)が殺されたので、立場は危うい。
いつも廊下ですれ違い、嫌味を言う美作秀吉(山本浩司)がここぞとばかり嫌味を言いまくります。このふたり、熾烈な出世争いを繰り広げていましたから。
峰屋の分家たちも最終的にはいい面があって、完全にいやな人はいないように配慮されているように感じる「らんまん」ですが、美作と高藤(伊礼彼方)にはいやな面しか出てきていません。おそらく今後、高藤の再登場は期待できず、いい面を見ることもなさそうですが、美作もこのまま、廊下で嫌味を言うだけで終わるのでしょうか。名優・山本浩司さんの無駄遣いはもったいない気がします。
ただ、美作と田邊の確執は、偏見によるもので、この偏見こそ差別の元であり、それを歴然とさせるという意味で重要です。
※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。
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