<らんまん・植物学者編>16週~20週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第89回のレビュー
転んでもただでは起きない万太郎(神木隆之介)。というか、彼には「転ぶ」という概念がない気がします。田邊(要潤)にも博物館にも協力してもらえないなら、マキシモヴィッチ博士に頼ろうと考えます。
ロシアに行くなんて途方もない気がしますが、伊藤孝光(落合モトキ)も徳永(田中哲司)も海外留学中。この頃、海外留学にはかかる費用はいくらくらいだったのでしょうか。
文部科学省のホームページには、明治時代、文部省が選出した留学生については、初等留学生にあっては年間八〇〇円から一、〇〇〇円、上等留学生にあっては同じく一、五〇〇円から一、八〇〇円が往復旅費とともに支給されたとあります。1000円といえば印刷機。そして、峰屋からの結婚祝いも1000円。
ちなみに、週刊朝日編の「値段史年表 明治・大正・昭和」によると、大正15年の東京大阪間の航空旅客運賃は35円です。この年、東西定期航空会が旅客輸送を開始したそうです。
明治12年の外国郵便料金は、15グラムまでの書状10銭。はがき3銭(万国郵便加盟国宛で米国、上海は少し安い)。長屋の家賃が50銭で、その5分の1と思うと、そこそこ高いですね。
(「らんまん」ではいま、明治19年頃かと思われます)。
向こう(ロシア)に行きさえすればなんとなる。渡航費用だけ捻出しようと、万太郎が頼ったのは、峰屋。
困ったときの峰屋。実家が太いっていいですね。
それにしても「金の相談を」と至極当たり前の口調で言う万太郎がちょっとこわい。躊躇や遠慮や罪悪感が1ミリも感じられません。そこだよ万太郎。
ところが、峰屋はその頃とんでもないことが起きていました。
腐造を出してしまったのです。
その前に、新しい爽やかなお酒がようやく完成して、竹雄(志尊淳)が綾(佐久間由衣)に「ズギュン♡」なんてやってニコニコしていたら、ズドンと奈落の底へ突き落とされました。
ドラマの序盤から「腐造」という言葉が何度も出てきていました。女性が蔵に入ると「腐造」が起きると言い伝えられていたため、綾は酒造りの仕事ができずにいましたが、古い偏見を跳ね返して、当主になり、ここまでやってきました。
女性と腐造は関係ない、と安心(慢心?)していた矢先、新たな酒を作る段階での腐造。
女性のせいでも、綾のせいでもなんでもなく、不運であっただけとはいえ、綾の代で腐造を出してしまったことは、ある意味、呪いが続いていたということです。
お酒ができなくても税金はとられるので、立ち行かなくなった峰屋は店じまいをすることに……。
酒が川に捨てられて、空っぽになった蔵のなかで、
あーーー あーーー と絶叫する綾。
ただもう、あーー しか言えない絶望が伝わってきました。
そんな状態の峰屋のもとに、万太郎からのんきな渡航費の協力のお願いの手紙が届いているかと思うと、つらい……。
そんな万太郎も、園子に心配ごとが……。
この難関、乗り越えられるでしょうか。
※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。
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