<らんまん・植物学者編>16週~20週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第99回のレビュー
女学校が廃止になって田邊(要潤)は校長職を失い、やけ酒を煽っていました。もっと酒をと求める田邊に、聡子(中田青渚)は毅然と拒否します。
いままで、おとなしく、夫の後ろで言うことに従っていた聡子ですが、誰よりも田邊を理解し尊敬している、頼もしい味方。
日本で植物学をはじめたのは紛れもない田邊であると、そして、そのあとに続くものがいること。それを田邊の愛するシダになぞらえて「始祖にして、永遠」ーーこんなふうに認めてもらえたら、報われるでしょう。
やけ酒というのは満たされないから飲むわけで、言葉を尽くした思いやりが注ぎ込まれたら、酒など不要かもしれません(人にもよりますが)。
聡子は、鹿鳴館、西洋の音楽、ローマ字とせいいっぱい働いたことも認めたうえで、「それがやりたかったことですか?」と切込み、校長職がなくなったいまこそ、植物学に打ち込めるではないかと背中を押すのです。
いろいろ失くして、誰にも認めてもらえないと悔しがっている人に、これほど理想の励ましはないでしょう。
田邊は植物も好きだけれど、世の風潮で、政治的なふるまいをして出世することに
時間をとられていたことを指摘し、違う角度で状況を見ることを促す。寿恵子(浜辺美波)もすばらしく前向きな妻ですが、聡子も負けていません。このふたりは基本、似ていて、いわゆる「良妻賢母」そのもののように感じます。
子供たちに「お父様をお守りできるのはお母様とあなただけなの」と教え(「お守りします」という子供たちがいたいけ)、群がる人々の前にも堂々と出て対応します。
女学校で手をつけられた幼妻みたいなへんなイメージをもたれていたことでしょうから、その張本人が出てきてきちっと対応すれば、イメージも変わることでしょう。
森有礼(橋本さとし)は亡くなって残念ですが、田邊夫婦に新たな旅立ちをもたらしたのです。
久しぶりに東大の研究室にやって来た田邊。その部屋には、楽器や書物、田邊の愛するものが置かれています。改めて自分が何をしたいか立ち返った感じがします。大窪(今野浩喜)や波多野(前原滉)や学生たちが心配そうに見守るなか、田邊は、今年は植物採集に一緒に行くと言い出します。
ホコリまみれの胴乱をとりだし、ホコリをはらって咳き込む田邊。
胴乱も黄色でおしゃれで、田邊のセンスの良さと経済力を感じます。
久しぶりに植物採集をした田邊は、これまでになく生き生きとした表情に。体をたくさん動かしたせいもあるでしょう。自然のなか歩くと顔つきは格段に変わりますから。しかもそこで珍しい植物を発見!
田邊が失脚した後、美作(山本浩司)が再び出世します(しかし出世がコネ頼りばっかりでそういう現実にはほとほとがっかりします)けれどもう、田邊はほかに目標を見つけたので、相手にしていない感じ。
ただまだ心配ごとはあって。田邊がやる気になった新種かもしれない植物を、同じころ、万太郎(神木隆之介)も出会っていました。
田邊と万太郎、またぶつかってしまいそうです。
これだけ田邊に感情移入できるように描いているので、ふたりの関係性を見ていると胸が痛い。
それはそうと、美作は廊下の場面にしか出てきませんが、これまでの登場シーン、全部まとめ撮りだったりして……。
※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。
→元記事はこちら
→目次へ戻る
「らんまん」をU-NEXTで視聴する
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)NHK