<鎌倉殿の13人・源平合戦編>第1話~10話までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第10話ストーリー&解説
第10話ストーリー
平家の追討軍を見事に退けた源頼朝(大泉洋)。これを聞いた後白河法皇(西田敏行)はほくそ笑み、平家の総帥・清盛(松平健)は都を京へ戻すことを決断。奥州の覇者・藤原秀衡(田中泯)は義経(菅田将暉)の文を一読し、静かに源平の様子をうかがう。そんな中、鎌倉では八重(新垣結衣)が侍女として頼朝のそばで働き始めるが、北条義時(小栗旬)の気づかいに亀(江口のりこ)が疑念を抱くなどそれぞれの思惑が入り乱れていた……第10話・徹底解説
第10話。今回、具体的には何も成果を残していないけれど、源義経の印象が強く残った回でした。なにか別の作品で義経の印象を持っている人と、本作で初めて義経を知った人では、義経の人物像は大きく異なるだろうなあ。源頼朝の思惑・藤原秀衡の思惑
源頼朝(大泉洋)は源義経(菅田将暉)を仮御所に招き入れて会話をします。
義経は平泉は良いところでした!と元気に話しますが
「鎌倉を平泉(義経を育てた藤原秀衡(田中泯)が作った)のように豊かにしたい」
という頼朝に対しては
「難しいんじゃないですか」
とあっさり。
複雑な表情の頼朝でしたが、義経は秀衡に3000の兵を送るよう依頼していました。
頼朝は「心強い」
義経は「一刻も早く清盛入道を討ち果たしましょう!」と鼻息荒く語ります。
場面は変わって奥州・平泉。秀衡は義経と平清盛(松平健)から、それぞれ兵を挙げる手紙を受け取っていました。
義経の援軍要請を受けるか、清盛の源氏討伐の命令を受けるか。並の器量の武士であれば大いに頭を悩ませるところです。
しかし策士の秀衡は
「両方に承知したと返信しよう。ただし『いつまでに』とは言わずにな」。
と依頼の手紙を焼いてしまいます。
そして
「九郎ほどの才があれば、己一人で大願を成し遂げよう」
とぽつり。秀衡の元で義経が何をしていたかは語られていませんが、その将器は認められていたようです。
後白河法皇の企み
第9話で戦わずして頼朝軍に敗れた平維盛(濱正悟)は、平清盛(松平健)とともに福原(兵庫県神戸市)にいる後白河法皇(西田敏行)・丹後局(鈴木京香)の所へ戦の報告に訪れます。
清盛に担がれていながらも平家の世を嫌っている後白河法皇は
「維盛、私も力を貸そう。祈祷じゃ。祈祷をしよう」
と語り清盛らに感謝されます。二人が去ったあとに後白河法皇が呼んだのは、謎の僧・文覚(もんがく=市川猿之助)でした。
後白河法皇は文覚に
「人を呪い殺すことはできる?」
と聞きます。
浅黒い顔をした文覚は
「さて、誰に死んでもらいましょうかの?」
それに
「へへへへへ」
と答える後白河法皇。なんとも危険な表情をしています。東から攻められ、獅子身中の虫までいる平家、かなりピンチだと言えるのではないでしょうか。
大庭景親の処刑
平家を攻めたい頼朝に付き従う北条家ですが、所領は大切にするものの外へ打って出る気がない板東武者をどう乗せていけば良いのか、悩ませています。
そんな折、平家側で相模国の武将であった大庭景親(國村隼)が処刑されます。
景親は後ろ手に縛られながら、北条時政(坂東彌十郎)に
「頼朝ごときにたぶらかされおって、情けない」
刀を持つ上総広常(佐藤浩市)に対して
「あのとき頼朝を殺しておけばと、おまえもそう思うときが来るかもしれんぞ」
と言葉を残して、広常の手で処刑され、さらし首となりました。
頼朝の命を救った景親は、結局は頼朝勢の手によって命を落とすことになりました。
八重と義時:1
鎌倉では、八重が一生懸命働いています。そういえば一生懸命という言葉は元は「一所懸命」。鎌倉時代に生まれた言葉とされていますね。八重(新垣結衣)の働きぶりを遠くから見る北条政子(小池栄子)。
よく働いている八重に感心していますが、そんな八重に義時が近づき、そっと草餅を渡し応援し、笑顔で去るところを見てしまいます。
「ファイト!」なんて言いそうなポーズです。
女性関係で、どうにもスマートにできない義時、どうやら草餅を渡すことを相談していたであろう三浦義村(山本耕史)にこっそり報告していました。
義時「うけとってくれた」
義村「まだ惚れているのか?」
義時「(八重には)幸せになってもらえれば」
義村「じゃあ俺が(八重を)もらってもいいのか?いいんだな?」
義時「いいとも。八重が幸せになってもらえれば」
義村「言ったな(にやり)」
現代劇風な会話です。これが吾妻鏡に出ていたら衝撃ですね。
夜になって八重は義村に
「こういうものをもらってしまいました。困ります」
と草餅を渡してしまいます。義時、残念。
義村は
「佐(すけ)どの(=源頼朝)が忘れられませんか。先に進んだらいかがか。生きることができるのに、もったいない。力になります」
と暗に自分をアピールしますが
八重は「そういうおつもりなら出て行きます!」
とけんもほろろ。
義村は諦めてあっさり言葉を翻し
「ここにいなさい」
と話します。義時も義村も、八重の心を開くことはできなかったようでした。
悔しかった義村、義時の草餅をかじっていました。
一方、政子は源氏の棟梁の妻としてふさわしい立ち居振る舞いを義母・りく(宮沢りえ)や兄・牧宗親(山崎一)から学んでいます。
稽古の合間にやってきたのは義経でした。
義経、柵をぴょんと跳び越えて政子の前へ。
「姉上に思い切り甘えてもよいでしょうか?」
無邪気風な表情を見せる義経。
「かまいませんよ」
という政子。夫の弟ですからね。優しくもするでしょう。
そうしたらなんと。いきなり膝枕をしてもらう義経……!
「夢でした・・・・・・」
何かしら人恋しかったのでしょうか? 膝枕を堪能した後はぱっと飛び起きて
「兄上のところに行って参ります」
とどこかに行ってしまいました。義経、なかなかつかみ所がありません。
4兄弟が揃う
頼朝が立ち上がった報を聞き、離れていた兄弟も集まってきた鎌倉。頼朝は異母弟の義経・範頼・阿野全成(新納慎也)とともに酒を酌み交わしていました。頼朝は4人が勢揃いでお酒を飲める幸せをかみしめているようではありますが、話題に困ってもいるようでもあります。
義経に思い出話をする頼朝ですが、その思い出は私です、と全成。そんな筋違いの会話を何度かした後、側にいる義時を
「小四郎は5番目の弟と思ってくれ」
と紹介しつつ
「おまえたち、世を正すため力をつくしてくれるな!」
と檄を飛ばします。
元気が良かったのは
「京へ攻め上りましょう!」
と語った義経。
しかし、板東の地盤を固める務めもあるため、まずは常陸へ向かうことになりました。
江口のりこ劇場
ファンに好評な本作の江口のりこ(亀役)。今週の『江口のりこ劇場』はここでやってきました。
八重の素性を知った亀は、さっそく嫌がらせを始めます。
まずは八重に
「佐どのに、酒と肴を」
と頼みます。
酒肴を用意して持ってきた八重を出迎えたのはなんと、亀!部屋の中にまで運ばせようとします。そこで八重が見たのは亀と肩を寄せ合っている頼朝でした。
頼朝は苦虫をかみつぶしたような顔です。正妻は政子、手を出してしまった女性が亀で、心を寄せているもののそうした関係になれないのが八重であるため、頼朝としてはなんとも複雑な表情になってしまっているのです。
息が詰まる八重。部屋を出て大きなため息を吐きました。八重もまた、辛いのですね。
シーンが変わり、政子が作法の稽古に励んでいる合間に亀がやってきます。
「新しい侍女は元気にやっていますか?」
と政子。亀は
「八重ですか?このところ伏せっております」
と返します。だれが伏せる原因をつくったんだか。
常陸攻め
頼朝は常陸(茨城県)の佐竹氏攻略のため出陣しました。佐竹は平氏に通じており関東では最大の敵です。板東の基盤を固めるためには倒さなければならない相手です。自分の領土を守ることに懸命な板東武者も、佐竹討伐のためには積極的に兵を出しました。
本陣では、佐竹と長年の付き合いである上総広常に、まず使者に立ってもらうことに決まります。
そこで元気いっぱいの義経。
「兵を500ください。3日で敵大将の首を挙げます!」
威勢が良くて結構、結構。
戦の経験が無いのに自信満々だなという冷やかしに対して義経は
「経験もないのに自信もなかったら何もできない!」
と返します。ドラマ的にはその元気、買いだ!となるのですが、
広常は
「小僧!戦は自分勝手にやるんじゃない。決められたことに従えないならとっとと奥州に帰れ!」
それまで自分が決められたことに従い続けてきたような説教をします。
頼朝も
「ここは控えておれ」
と諭し、しぶしぶ義経は引き下がります。
佐竹家の軍と対峙した上総広常軍。広常は見知った佐竹の将と1対1でまず会話……と見せかけて抜き打ちます。それをきっかけに戦闘が始まってしまいました。
佐竹家の本陣は金砂城(茨城県常陸太田市にある西金砂山)。広常の奇襲をきっかけに戦況は有利になりました。
そうとは知らない本陣の頼朝。義経の、正面におとりの兵を置いて敵兵を引きつけ、背後から急襲する案を聞き、その案を実行しようとしたときに、金砂城が落城した報を聞きます。
義経の案は後に伝説となる一ノ谷の戦いでの奇襲を彷彿とさせる、戦の才能を十分に示す内容だったので、ここで見られず残念!といったところでしょうか。
頼朝、何もすることなくがっくりです。
なおこの時、必ず参戦していた三浦義村がいませんでした。それは
腐った餅を食べておなかを壊したから
だそうなのです。え、腐った餅って、もしかして……。
八重と義時:2
戦も終わり、義時は常陸の山で採れたきのこを八重にプレゼントします。
体調が優れない八重を心配し声をかけていましたが、そのとき、怪しい人影を見つけました。義時が捕らえると、それは頼朝でした……。
八重を頼朝の近くで働かせることは内緒だったのに、亀から聞いてしまったという頼朝。ここで、八重を頂点とした三角関係が明らかになってしまいました。
男・源頼朝はイケメンな一言。
「しかし……、おまえが八重に惚れていたとはなあ。そういうことならわしは諦めよう!」
常陸攻略の際に捕まえたヒヨドリを八重に渡してやれ、という頼朝。しかし、その場にいた僧侶が
「これはヒヨドリではなくツグミです。鳴かないことから口をつぐむ=つぐみと呼ばれているのです」
急に出てきて誰だこの僧侶?と思っていましたら自己紹介がありました。
なんとこの僧侶も頼朝の異母弟。京都からかけつけた義円(成河)でした。
兄弟も揃い機運も高まる
頼朝の元には兄弟が続々と集まります。板東武者にとって東の脅威となる、関東最大の敵・佐竹家を退け、頼朝の西進計画は着々と進んでいるようです。いよいよ、京へ向かって進行するのでしょうか?義時の気苦労は減っていくのでしょうか?※この記事は「鎌倉殿の13人」の各話を1つにまとめたものです。
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(C)NHK