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2022年07月30日

<テッパチ!>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<テッパチ!>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第3話ストーリー&レビュー

第3話のストーリー



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陸上自衛隊の自衛官候補生として厳しい訓練を続けている国生宙(町田啓太)や馬場良成(佐野勇斗)ら第一班の面々は、同じ班の武藤一哉(一ノ瀬颯)が少年刑務所あがりだという噂話を聞く。父親を刺し殺したのだという。武藤は普段から無口で、何を考えているのかわからないだけに、アイツならやりかねないなどと言い出す荒井竜次(佐藤寛太)や丸山栄一(時任勇気)たち。宙や馬場は、ただの噂話かもしれないから気にする必要はない、と言うが……。

そんな折、宙たち自衛官候補生は新たな訓練が始まり、渡辺淳史(坂口涼太郎)や小倉靖男(池田永吉)、西健太(藤岡真威人)らは、桜間冬美2尉(白石麻衣)が教官のひとりだと知って盛り上がっていた。宙は冬美から指導を受けることに。一方、武藤は男性教官から叱責されながら指導を受けていたが、様子が変で……。

第3話のレビュー

寡黙キャラな武藤(一ノ瀬颯)の殻が破れた。宙(町田啓太)を中心とする候補生たちとの間に、家族に似た絆が生まれた3話。前回、実の父親を刺し殺した噂が流れていた武藤だが、ついにその真実が明るみに出たのである。

シャワーシーン、もしくはシャワーを浴びる前後の”筋肉お披露目タイム”は、もはやこのドラマ恒例のよう。いつものように男同士のお喋りをしていた最中、末っ子キャラの健太(藤岡真威人)が、とあるものを発見する。

それは、武藤の肩に刻まれた、古い傷跡だった。

隊員食堂でたまたま耳にした噂。肩の傷。そして、圧が強めな上長に怒鳴られ続けパニックを起こす武藤の姿。すべての点が線として繋がったように思えた頃、耐えかねた武藤は脱走を試みる。通りかかった宙が止めて話を聞いていなければ、そのまま挫折していただろう。

父親の暴力に悩まされた子ども時代。たまりかねて包丁を持ち出し、父親に突き刺そうとした心境。結局、体の大きい父親に組み伏せられ、肩に傷を負った顛末。逮捕された父親と、養護施設に入った自分のこと。

自衛隊に入るまでの経緯を語る武藤の口調、表情はなんとも哀切に満ちていた。あれだけ寡黙だった彼がウソのように、まさに堰を切ったように言葉が止まらない。その様は、押さえつけていたものの大きさを感じさせられる。

武藤の話を聞きながら、宙は思ったかもしれない。このまま脱走するのはもったいない。ここは、自分から逃げ出しさえしなければ、受け入れてくれる場所なんだから。かつて、自分自身も同じように挫折しかけたからこそ、手を差し伸べずにはいられなかったのだろう。

だからと言って、あの”訓練方法”はどうなんだろう……? と個人的にはヒヤヒヤしてしまった。

荒井(佐藤寛太)たち候補生仲間も巻き込み、夜の剣道場で武藤ひとりを囲み、全員で1時間罵倒し続ける。誰にどんな罵詈雑言を浴びせられても、パニックにならないようにする訓練だそうだ。

そんな様を見守る八女(北村一輝)や冬美(白石麻衣)がいたこと、たとえフリだとしても悪口は言えなそうな馬場(佐野勇斗)が、見張り役としてその輪から抜けていたこと、順番に悪口を言い続ける候補生たちもつらそうな顔をしていること、すべてが終わったあと口々に「ごめん!」「あれは本心じゃないから!」と謝罪&撤回の言葉があること。

これらの仕掛けがなければ、たとえ訓練だとしてもさらに心折れてしまうだろう。結果、彼らの”家族にも似た絆”は深まり、全員で武藤の誕生日を祝うまでに関係性が仕上がった。

「声を上げることの大切さ」を説いたドラマが目立つ。金曜ドラマ「石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー」では、些細なことと軽く見ずに弁護士に頼る姿勢を投げかける。月9「競争の番人」では、おかしいことはおかしいと主張する勇気に焦点が当てられる。

「テッパチ!」でも、ただ黙って待っているだけでは人生は好転しない、そんな基本に立ち返って「じゃあ、どうする?」を考えるきっかけを与えてくれる。少しでも自分の人生に風穴を開けたい、そんな思いで集まった候補生たちの絆を描いたドラマなのだ。


※この記事は「作品名」の各話を1つにまとめたものです。

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