<舞いあがれ!・結婚編>18週目~21週目の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第94回のレビュー
新聞記者御園(山口紗弥加)が書いた記事は女性社員にフォーカスしたものでした。舞(福原遥)は長年尽力してくれている男性社員に申し訳が立たないと感じますが、御園は彼女がおもしろいと思ったことを書いたまでで、舞が伝えたいことは舞が書けばいいと言います。御園はタメ口でぐいぐい来るのがクセつよで、苦手な人もいると思いますが、言ってることは正論です。何をどう感じようと自由ですから。そして、IWAKURAに関して、女性が多いことが特徴だと感じて世の中に伝えたいと思ったから伝えたまでなのです。
もちろん、IWAKURAは、先代ががんばって大きくしたもので、笠巻(古舘寛治)たちのいい仕事があってこそいまがあるわけですが、それを紹介しようと思ったら連載記事になってしまうでしょう。
IWAKURAには大手新聞の連載記事になるほどのパワーはないわけです。町工場の腕利きの職人といったらほかにもいるでしょうから。この人を載せたらこの人も……ときりがありません。
仕方のないことなのです。書く側としたら、たくさん話を聞いたけれど、これしか載ってないと思われてしまうこともやっぱりあります。筆者は取材もしますが、取材もされることもあり、やっぱり、大事な部分は使用されず、一般的な話しか使われなかったと残念に思うこともしばしばです。話したことがまったく使用されないこともあります。
「伝えたいことがあるならあなたが発信してみれば」と御園に言われ、舞はブログをはじめようと考えます。
いまはSNSがありますから、自由に発信できます。それぞれが感じたことを発信する時代はすてきです。ただし、最低限の常識や他者への敬意は必要と思います。
全員のことをできるだけ伝えたいと思っても伝えきれないものなのです。だからこそできるだけ、語られなかったひとがいることに思いを致す、それが創作です。たとえば、ドラマは、実話以外は、こんな人達がいたかもしれないという話です。
それこそ「舞いあがれ!」は、社長が急死して、必死に会社を継いだ妻と娘がいたかもしれないという物語です。そして、それだけがフォーカスされて、悔しかったり寂しかったりする人たちもいるかもしれないという物語です。
だれかに伝えることを考えはじめた舞は、貴司(赤楚衛二)の短歌について、「短歌にしたら一瞬が永遠になる」と言葉の真髄を悟ります。
「貴司くんの短歌好きやで」ーー貴司くんが好きやで と言えないもどかしさ。
七夕の夜、窓越しに語り合うふたり。七夕と言いながら、家と家の間の狭い空。
その間に、史子(八木莉可子)が押しかけ女房的にデン!と鎮座し、日に日に存在感を増していきます。
【朝ドラ辞典 当て馬(あてうま)】恋愛ドラマに不可欠な存在。本命のふたりの間に障害があると、逆にふたりの恋の炎が燃えるという重要かつ残念な役目。ただし熱演すると視聴者からは支持されることもある。俳優としてはステップアップになる。
※この記事は「舞いあがれ!」の各話を1つにまとめたものです。
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