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2023年04月30日

<あなたがしてくれなくても>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<あなたがしてくれなくても>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第9話ストーリー&レビュー

第9話のストーリー


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吉野みち(奈緒)は夫の吉野陽一(永山瑛太)から、新名誠(岩田剛典)は妻の新名楓(田中みな実)から、それぞれセックスに誘われるが、流れに身を任せる中で、思わず拒んでしまう。どちらもセックスレスに悩み、体を重ねることを望んでいたはずだったのに、皮肉にも自分から拒んでしまったことにショックを受ける。陽一と楓もまた、今まで自分がしてきたことが返ってきて、相手の辛さを知ることとなる。

翌朝、新名が出勤すると、楓は荷物をまとめてマンションを出て行く。

陽一は、カフェの壁に飾られた思い出のパズルに欠けている1ピースを自作してはめ込むが、パズルの色は周囲に合わない。高坂仁(宇野祥平)は「他のもので適当に埋め合わせてもこうなるんだ」と言う。高坂は、妻に浮気がバレたと話し始める。前回バレた時は家を買って許してもらったという。家は一生の買い物、妻へのでっかいラブレターだと。

その夜、陽一はみちに、賃貸の契約を更新しないで、マンションを買わないかと言う。すでに内覧の予約も入れたと言う陽一が見せたマンションの間取りは1LDKだった。子供が産まれた時のことを考えていないことがわかる陽一の提案に、みちは不信感を抱く。

楓はマンションを出てホテルで生活することで、新名の気持ちを試そうと思っていた。新名に「しばらくホテルに泊まる」とLINEするが返信はない。「帰って来い」という返事を期待していた楓は悲しみに沈む。

内覧の日、陽一はみちの気持ちをくんで2LDKのマンションを見せてもらう。不動産屋の圧にも負けずにいろいろと尋ねる陽一を頼もしく思いつつ、みちは子供部屋へ。「もし陽一とセックスレスでなかったら、子供のいる家庭が出来ていたのかな…」。そう考えるみちに寂しさが込み上げて…。


第9話のレビュー

パートナーの身体を受け入れることができなかったみち(奈緒)と(岩田剛典)。
陽一(永山瑛太)と(田中みな実)もさぞショックを受けただろうが、みちと誠もショックだっただろう。
“拒否されていた側”のセックスレスで悩んでいた当事者が、いつの間にか”拒否する側”に回ってしまっていたのだから。

この仕打ちに対する反撃方法に、人となりが濃くにじみ出る。

まずは、陽一。
オーナーの高坂(宇野祥平)、2度目の浮気がバレた模様。前回は家を買うことで償ったらしい。
…いやいや、浮気の代償が家って、えぐいな。
高坂曰く、それは「高いラブレター」とのこと。なるほど。浮気された側に許す気があるのであれば、もしくは許さざるを得ないのであれば、されたこと以上の付加価値はあるのかもしれない。

この話を聞いた陽一は、マンションの更新をするタイミングということに乗っかって「家を買わないか」と提案する。
…いやいや、どう考えても安直すぎる。物を盾にして外堀から埋めて一体どうする?そんなことをしたって、夫婦関係はきっと変わらない。

三島(さとうほなみ)と寝た後もそうだったが、陽一の単細胞的思考にはただただ呆れる。

そして、楓。
セックスを拒否された翌日から、ホテルに泊まることを決意。
「しばらくホテルに泊まります。」と送ったLINEは既読がついたまま、誠からの返信はない。

構ってほしいとき、人は思っていることと逆の行動をとる。
だがしかし、相手の気持ちがこちら側に向いていない時にそのようなことをしても逆効果なだけだ。相手はほっとして、自身はまた傷つく。

さらには、探偵を雇い陽一の職場までも突き止める。怖い。怖いよ楓。
高坂からの絡みも華麗にスルーし、核心には触れずにじわじわと距離を詰め寄る楓。
だが、陽一のみちへの思いにただただ打ちひしがれるだけであった。

…余談だが、宇野祥平がリリー・フランキー的な立ち位置にいることが違和感なく、絶妙にハマり役である。


「物にも人にも思い出を添付しちゃ駄目ですよ。捨てづらくなるだけ。それ、愛着じゃなくて執着ですからね〜」
「自分の心を壊してまで一緒にいることに、何の意味があるのかな」
「ほどけそうになった紐は、ちゃんと結び直すの」

第三者視点の言葉が傷口に染み入る。
そう、「あなたがしてくれなくても」の登場人物は、みんな真面目すぎる。強いて言うならわがままなのは陽一くらいか。もっと自分本位に生きてもいいのに、全員。

「楓とセックスできなかったのは、男としての愛情が戻らなかったからなんだ」
「(子供は欲しくないって)言ったら俺から離れていくだろ。俺はみちと一緒にいたくて結婚したんだよ」

飛び出る、心が死ぬ言葉たち。
誠はまだしも、陽一は確信犯である。

最悪のタイミングで、ついに誠が退職。
心の拠り所がなくなりつつある今、”職場が同じ”という絶好のシチュエーションまでもが終焉を迎えてしまう。

そんな中、(武田玲奈)の粋な計らいで、ラーメン屋で居合わせるみちと誠。

もう、どう見ても未練タラタラなんですよね、お互いに。
感情を押し殺して会話するも、ただただ苦しそうなだけ。
それでも、最後の最後に溢れ出してしまうのが性。

みちの手を取り、走り出す誠。
どこに向かって走っているのかは、本人たちもきっとわからない。
やっぱり真面目な二人は、駆け落ち行きのバスには乗車せずに事を終えた。

道理には反しなかったものの、ようやく自身の気持ちに整理がついたみちと誠は、"離婚"というキーワードを口に出す。

…もうこれは、単なる不倫物語じゃない。純粋な恋愛物語なのである。



※この記事は「あなたがしてくれなくても」の各話を1つにまとめたものです。

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