「生きるとか死ぬとか父親とか」第12話ネタバレ感想:ついに家族になった蒲原家にカンパイ!そしてありがとう!
第12話あらすじ&感想
第12話あらすじ
父について綴ったエッセイ本がついに完成!そして、トキコ(吉田羊)と父(國村隼)は、亡くなった母の出刃包丁を研ぎに行く。二人の間にはいつもとは少し違った穏やかな空気が流れているが、トキコはラジオの放送時間の変更を提案され悩んでいた。深夜番組から昼間の帯番組というステップアップの提案だ。トキコは珍しく父に相談を持ち掛ける。その時、父がトキコに贈った言葉とは…?そして、これまでバラバラだった家族のゆくえは…?心温まるフィナーレ!
第12話感想
自由奔放で気ままな父とその娘。家族の姿を描いたドラマも今回で最終回を迎えました。過去回想編で、母のことを書くために、自分の最も認めたくなかったことに向き合ったトキコ(吉田羊)。
母の寂しさを認めたくないことも、父・哲也(三國隼)を許せないことも、過去のトキコ(松岡茉優)と共に乗り越えて、原稿を書き終えます。そして、今まで見続けてきて本当に良かったと思わせてくれる最終回でした。
1.誰かのためじゃない、自分の相談を父にしたトキコ
ついにトキコの著書が出来上がる。題名は『生きるとか、死ぬとか、父親とか』(!)。大きなヤマを越えたトキコは新しい時間帯と枠での仕事を打診されます。ここで良かったのは、トキコが父に悩みを相談したこと。
トキコはいつだってたくさんの人の悩みに答えてきた。悩みに答えるのは相手のためだけど、トキコも生身の人間だから、誰かに悩みを聞いてほしい時もある。その相手が父親なのが、大きな関係性の変化だと感じた。
老舗の金物屋のように、手を抜かず同じことと続ければいいという父のアドバイスは、確かに身の振り方のヒントとしてトキコに届いたのだ。悩みがあるならお父さんに相談しなさい、金の相談以外ならなんでも乗るというのが、いかにも父らしいけど!
2.亡き母に自分たちが家族になったと呼びかける瞬間がたまらなかった
トンカツ屋で父から申次をもらったトキコ。封筒は今まで厄介や面倒事の象徴でしかなかったね。
第一話では新しい賃貸の契約だったし(それは経済の工面の要求でもあった!)、過去では支払えなくなった家賃の督促状だった。しかし今回は、そこに書かれていたのは、生きていれば母から受けたはずの申次だった。
自分だけじゃ店の場所がわからないという娘に、一緒に回ろうと言う父。いつまで生きられるか分からないとも言う父。目を真っ赤にして、文字通り詰め込むようにご飯を食すトキコ。
これまで不和の父と娘を繋ぎ止めていたのは母だった。今回は初めて父が申次で娘と母を結びつけたのだ。亡き母に自分たちが家族になったと呼びかける瞬間がたまらなかった。ほんとに良かったね。
家族の時間は進み方がもしかしたらゆっくりなのかもしれない。母の死後20年を経て、娘が40歳を超えて、初めて蒲原家は家族になったのだから。
3.アカペラのトキコはこれからも変わらずに進み続ける象徴のように見えた
このドラマのオープニング、ever since。まさか、トキコがアカペラでこの曲を歌うシーンが有るなんて思わなかった。歌詞を抜粋する。
些細な言葉の一個 足りなくって 多くって また平行線を辿る
月明かりに吹くビル風
強い言葉を選んでちゃんと傷がつくように罵ってから部屋を出た
いつからだろう
あなたの背中が少し小さく見えた
強い人じゃなくて強がりな上手な人
あれからもうどれほど時は流れただろう
それなりの日々を束ねて胸張っていても
色んな人に出会うたび鏡のようさ
ぼくのなにもかもがあなたを写している
これはトキコと父親の歌なんだと見ていてジンとするシーンだった。前話までの流れがあってこそ、このシーンは意味をなしていると思う。
若かった頃のトキコ(松岡茉優)と今のトキコが対話するシーンを思い出す。人間としての母親と向き合い、怒りや悲しみを受け入れたトキコだからこそ、アカペラの声が心に染み込むように入っていく。
トキコはお土産を持ったまま、雨の中を歩きだす。その場所は、第八話で元カレの青柳タツヤ(岩崎う大)と昔を振り返ったときにいた場所でもあった。
二人はずっと変わらずに走り続ける年配の男性を見つけたのだ。その同じ場所で雨の中を歩いて行くトキコの姿は、これから良い意味で変わらずに進んでいく象徴のように思えた。
4.結婚していない、子供も産んでいない。だからこそ、架け橋になれる
新しい仕事の提案に答えを出すトキコ。昼の主なリスナー層は、自営業の男性や主婦層だという。
トキコは結婚していない。子供も産んでいない。でもトキコの母は、結婚して子供を育てることを選んだ。自営業の男性は昔の父でもある。たとえトキコ自身が経験していないことでも、親は経験している。そして親子は否応もなくつながっている。
だから、結婚している人も、そうでない人も。子供がいる人も、いない人も。自営業の男性も。人と人をつなぐ架け橋になれる。トキコは新しい仕事にイエスと答えた。トキコがようやく家族になれたからこそ、出せた結論でもあるのだ。だからこそ、蒲原家にカンパイ!
最後に
この先も頑張るよとスタッフに言うトキコ。一生ついていきますと言うラジオ音響担当・遠山の言葉も本気でしょう。
筆者も毎回、ラジオディレクター中崎がうんうんとうなずくように、ドラマの行方を追ってきました。キャスト、スタッフ、関係者の皆さんお疲れ様でした。本当に良いドラマをありがとうございました!
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(c)「生きるとか死ぬとか父親とか」製作委員会