<舞いあがれ!・大学生編>4週目~7週目の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第26回のレビュー
第6週「スワン号の奇跡」(演出:小谷高義)は舞(福原遥)のテスト飛行。「行きます!」といえばガンダムのアムロを思い出します。
はじめて飛ぶ感動を味わい(走っている誰か一人転んでましたね)、由良(吉谷彩子)に操縦がうまいと褒められたものの、ペダルが思いのほか重く感じ、プロペラを加工しようと刈谷(高杉真宙)は考えます。そんなとき役立つのが、浩太(高橋克典)の工場。部品を加工してもらえないかと相談することに……。
早くも舞のやってることと家の工場が繋がりました。
お父さんは飛行機のネジが目標ですから、娘に協力できることがちょっとうれしそうですが、気になるのは舞が恋をしているのではないかということ。工員の結城章(葵揚)から待受を見てにやついていたと聞いたのです。年頃の娘をもつ父としては気が気ではありません。
工場にやってきた刈谷、鶴田(足立英)、玉本(細川岳)の誰かが待受になっているのではないかと緊張感が走ります。
刈谷から舞は「意外としつこい」と聞いてめぐみ(永作博美)も、ん? となりますが、色恋のしつこさではなく、飛行機への静かな情熱です。舞のベタつかない粘りによって、誰もの心が解放されていく。舞はまるで「北風と太陽」の太陽のような人なのです。
制作統括・熊野律時チーフプロデューサーのインタビューでも
福原さんがいると、あたたかい陽だまりができて、そこにみんなが集まって、福原さんを真ん中にして一緒ににこにこおしゃべりしながらお茶を飲む、そういう空気感なんですね。福原遥さんのことをこう語っていましたが、ほんとうにそんな感じがします。
制作統括・熊野律時インタビュー「『舞いあがれ!』は善人しかいない、日常をすくいとっていく物語に」
視聴者は舞がまったく恋愛に興味なく飛行機一筋であることを知っています。やがて浩太も真相を知りますが、この展開がじつに素朴でした。
そうそう、肝心の部品の加工は、ベテラン工員・笠巻(古舘寛治・たちは土口)がみごとにやってくれました。
風を感じることからはじまり、仲間と家族のあたたかさに触れた一週間のはじまりでした。
都合よく主人公の実家で飛行機の金属加工ができる。最初はここでは無理となりながら、できる技術をもった人がいたという、ここだけ取り出すと、ご都合主義ですが、登場人物がみんな真面目で純粋なので好意的にスルーできます。となると、結局はふだんの行いが良ければなにかあっても大目に見てもらえるということになります。
【朝ドラ辞典 ご都合主義(ごつごうしゅぎ)】主人公の都合のいいようにものごとが進むこと。朝ドラではわりと多い。許容されるときとされないときの差は、主人公のふだんの言動による。日頃、謙虚で利他的であると大目に見られるが、日頃自己主張強めだと批判にさらされがち。これもまた視聴者の勝手な都合である。
【朝ドラ辞典 古舘寛治(ふるたちかんじ)】大阪府出身の俳優。演出も行う。一時期、ニューヨークで演技の勉強をしていた。朝ドラでは「ごちそうさん」(2013年後期)で結婚詐欺師の役でインパクトを残す。「ちむどんどん」(2022年前期)でリニューアルオープンした沖縄料理店・ちむどんどんの客を演じた。【朝ドラ辞典 赤津(あかつ)】「まんぷく」(2018年度後期)に出てきた塩軍団のひとり。ヒロインの母・鈴(松坂慶子)のお気に入りとなりなにかと「あかつー」と呼ばれていた。演じているのは永沼伊久也で、「舞いあがれ!」のなにわバードマンの一員・西浦役で出演しているが、赤津とは外観をまったく変えて現れ、朝ドラファンを驚かせた。
※この記事は「舞いあがれ!」の各話を1つにまとめたものです。
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