<舞いあがれ!・大学生編>4週目~7週目の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第31回のレビュー
第7週「パイロットになりたい」(演出:田中 正)飛行機を作る夢からパイロットになる夢へと変化した舞(福原遥)。なかなか両親に相談できなかったがついに大学を中退して航空学校に行きたいと告白しました。
このときの舞のしっかりした口調はこれまでの舞とは違います。
当然ながら困惑するめぐみ(永作博美)と浩太(高橋克典)。
舞はお母ちゃんも中退してお父ちゃんと結婚して後悔してないでしょうと反論します。
あとで、その話を聞いた悠人(横山裕)は、遅れてきた反抗期と笑います。
今までの舞は親に従順ないい子でしたが、はじめて自分の考えを押し通そうとする。それだけ本気なのでしょう。
次のターン(たぶん、航空学校編)に向かってのつなぎのようにも見えますが、登場人物ひとりひとりのキャラが見えます。
舞はある意味のんきな青春時代を終えて自立していく過渡期にあります。
めぐみは中退して駆け落ちして今がありますが、今、落ち着くまでには後悔や葛藤や苦労があったであろうことは過去の五島編で感じられます。その後、工場の経営難もありました。だからこそ、娘には何かを捨てたときの痛みを味わってほしくないのでしょう。さらに言えば、浩太の夢ーー舞の作った飛行機に部品を提供するも消えてしまうことが残念なのでしょう。
舞の話を聞いて皮肉を言う悠人は、いい人ばかりのこの物語のなかで唯一、それを客観的に見て軽く笑う役割です。悠人みたいな人がいないと善人ばかりでほっとするとはいえさすがにぬるま湯気分になってしまうので、差し湯的存在として必要でしょう。
舞は自分の好きなことをやれる環境にあるだけ恵まれていて、幼馴染の久留美(山下美月)、貴司(赤楚衛二)は好きなことよりも生活することでいっぱいいっぱいです。
久留美も貴司も家に帰らない日があり、舞も航空学校に反対されて思わず家を飛び出し、少しだけ久留美たちに近づきましたが、ふたりの家を出る感覚とはやっぱり違う。そう、舞だけまだ社会生活することの実感がないのです。
舞には社会生活のノイズがまだありません。だからつるっときれいなまま。彼女がどう変化していくのか、これから先が見どころです。
【朝ドラ辞典 野球(やきゅう)】「舞いあがれ!」第31回で、貴司の父・勝(山口智充)が近鉄バッファローズ55年の歩みを綴った新聞の特集記事を見ている。2005年3月に近鉄バッファローズは解散、ファンの勝はユニフォームを店内に飾っていることもあり、解散はショックなことであろう。野球は庶民男性の娯楽の最大公約数的アイテム。朝ドラでは男性の生活描写に野球が欠かせない。朝ドラで描かれる時代は昭和が多く、サッカー人気にはまだ早く、庶民(主として男性)の娯楽が野球だった時代である。例えば、「カムカムエヴリバディ」ではラジオから「早慶戦」の漫才が流れていた。「エール」では主人公が甲子園の歌「栄冠は君に輝く」、阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」を作った。元阪神タイガース選手の掛布雅之は「エール」と「ふたりっ子」にゲスト出演し話題になっている。「ふたりっ子」の主人公の父は阪神ファン。「ごちそうさん」では菅田将暉演じる主人公の息子が野球少年だった。多様性を模索する新時代、今後、野球が登場することも減っていくかもしれない。「舞いあがれ!」の佳晴(松尾諭)は野球でなくラグビー選手である。
※この記事は「舞いあがれ!」の各話を1つにまとめたものです。
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