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2023年08月11日

<最高の教師 1年後、私は生徒に■された>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<最高の教師 1年後、私は生徒に■された>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第5話ストーリー&レビュー

第5話のストーリー



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九条(松岡茉優)にとって『地獄』と称されることになる2学期が始まり、鳳来高校は一か月後に文化祭を控える状況となっていた。——— と、そこで九条は突然文化祭でのある催しの責任者に瑞奈(詩羽)を指名する。学外でプロとして音楽活動をしている瑞奈はそもそも文化祭に参加する意識もなく、その提案に驚きを示す。

そんなことをしている暇はないし、そもそもクラスの皆と交わることなく日々を過ごしてきた。その上、皆からはその風貌や行動に対して“変だ”“非常識だ”“調子に乗ってる”と批判されてきた学生生活を送っていた。なのになぜ自分が…と戸惑う瑞奈だったが、その文化祭の催しに引退公演を行う予定であるダンス部の生田(莉子)から「有名人風吹かせて私たちの青春をぶち壊すのだけはやめてね」とにらまれ、ますますやる気をなくしてしまう。その担当を断るため九条を追いかけた瑞奈は、そこで九条に告げられる。「文化祭前日、ある問題が生じ、今年の文化祭はなくなります。それを止められるのは瑞奈さん、あなただけです」——— と。

非常識と呼ばれる人、変り者と呼ばれる人、そんな人の中にある誰にも理解されない『大切なモノ』。調子に乗ってると揶揄される人たちへ送る応援歌が始まる。そして……最後にはこの物語を揺るがす『ある事実』が判明することになる——— !

第5話のレビュー

名ドラマには、名シーンが必要だ。瑞奈ニカを演じる詩羽が、文化祭の体育館イベントにて歌い上げた椎名林檎の「17」。この、聴く側にさまざまな感情を巻き起こらせるシーンは、間違いなく「最高の教師」の名シーンとなり得る。

プロのアーティストとして音楽活動をしている瑞奈。普段は口数も少なく、これまでの登場シーンも限りなく少なかった。5話にて、ついに彼女に焦点が当てられる。九条(松岡茉優)の1周目の人生において、文化祭は直前で中止になっていた。その原因となったのが、瑞奈だったのだ。

瑞奈は変わっている。とにかく目立つ。プロのアーティストとして表舞台に立っていることも関係しているが、幼い頃から、好きなことをしたり好きなものを選んだりするだけで「変だ」と言われ続けてきた。

自分自身のことを知りもしないのに、勝手なイメージで各々の常識を押し付けてくる声に反発するように、彼女は「誰かに必要とされるアーティスト」を目指している

しかし、有名人である瑞奈を一目見ようと押しかけた人々によって場はパニックとなり、開催直前にして文化祭は中止に。2周目の人生では、そんな事態を何としてでも防ぐべく、九条が動く。鍵となるのは、やはり瑞奈自身である。九条は、彼女を体育館イベントの責任者に命ずる。

予想通り、反発は起こった。とりわけ拒否反応を示したのは、生田やよい(莉子)だ。繰り返された言葉は「調子に乗ってるから」……。実際のところ、相楽(加藤清史郎)の差金によって、3年D組は襲撃に遭っている。せっかくの文化祭の準備をズタズタにされ、クラスの雰囲気は最悪に。

それも、生田にとっては、有名人だからって調子に乗るからこういうことになる、という文脈になる。

九条は、いつもの調子で生徒たちに“授業”をした。そもそも、調子に乗るのは悪いことなのか? なぜ自分と違うからといって、糾弾の対象に置くのか? 自分たちと違う道を歩む人は、別人ではない。悩むし涙も流す、れっきとした人である……。

人の想像力は、良い方向に働くこともあれば、悪い方向に作用することもある。実際に話したこともない、顔も名前も知らない相手の“悪評”が聞こえてきただけで、いともたやすく心はそちらに引っ張られる。勝手なイメージで、無邪気に無自覚に、相手にレッテルを貼る。

2019年に放送されたドラマ「3年A組」が発した根本的なメッセージは、「悪意に塗れたナイフで、汚れなき魂を傷つけないように」だった。知りもしないことを知ったふうに言わない。尖った言葉で相手の心を刺さない。もっと、もっと、人に優しく在ることを徹底的に説いた。

瑞奈が歌う「17」を聴きながら、必死に歌う彼女を見ながら、きっと私たちはこれまで使ってきた“言葉”を振り返っただろう。誤解を恐れずに言うなら、この世に生きている人間は全員、無自覚なナイフで人を刺したことがある……

歌を聴きながら涙を流した生田のように、どれだけ間違えてもやり直せる。そして、他者を許容し、自分自身をもっと認められるようになる。立ち上がったここからがスタートだと、九条の言葉は教えてくれる。

今回、物語の根幹を揺るがす、ある事実も明らかになった。鵜久森(芦田愛菜)もまた、九条と同じく“人生2周目”だったのだ。前回のレビューで、星崎(奥平大兼)こそが2周目では? と考察したが、まさか鵜久森だったとは。こうなってくると、真犯人の予想がふたたび、ブレてくる。



※この記事は「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」の各話を1つにまとめたものです。

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