<最高の教師 1年後、私は生徒に■された>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第9話ストーリー&レビュー
第9話のストーリー
▶︎「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」の画像をすべて見る
鵜久森(芦田愛菜)の事件の後で雲隠れしていた浜岡(青木柚)を、迫田(橘優輝)たちが発見。「事件の日…なんで学校にいたんだ?」…問い詰める迫田に、浜岡は人に頼まれたからだと答える。その人物は…3年D組の『ある生徒』だと言う。その人物の依頼で学校へと侵入したと告げる浜岡。その真偽は——— 。
迫田らの報告を受けた九条(松岡茉優)は、学校に忍び込んだ浜岡が鵜久森にとって“誰にも知られたくない何か”を見つけたのではないかと推察。鵜久森が命を燃やして守ろうとしたのは、一体何だったのかと頭を巡らせることに。
翌日、九条と3年D組はその「ある生徒」から直接話を聞こうとするが、その人物は登校をしなかった。
その時、九条の頭を“最悪”の状況がよぎる……もしもその人物が罪の意識に苦しめられ、絶望していたとしたら……。慌てて教室を飛び出し、捜索に走る九条!生徒に“最悪の終わり”を選ばせては、絶対にいけない…!九条と同じ思いのD組全員も教室を飛び出して——— !
ついに、一つの事件の『真相』へと迫る第9話。人は、その罪をどう背負うべきか。償うべきか。そして……、
命を燃やした生徒は、最後どんな『顔』をして過ごしたのか。一つの罪の真理に迫る、衝撃の第9話。
第9話のレビュー
鵜久森(芦田愛菜)の死に直接関わっていたのは、西野美月(茅島みずき)だった。鵜久森が強い意志を持ち、「なりたい自分になるために」生きることを決めた瞬間から、クラスの空気が変わるのを肌で感じ取った美月。自分の立場が危うくなることを動物的本能で感じ取った彼女は、浜岡(青木柚)から声をかけられたことを機に、金を渡して“依頼”をしてしまう。
浜岡は、いつも九条(松岡茉優)がいる化学準備室にカメラを仕掛けることを提案。偶然、鵜久森と東風谷(當真あみ)が、ある秘密について話をしている場面が撮れてしまった。これまで、なぜ東風谷が鵜久森に思いを寄せている、個人のセクシュアリティに関わる描写を入れたのか掴みきれていなかったのだが、この核となる展開に繋げるためだったのだとわかる。
美月は、その映像データを使って、鵜久森を脅した。すべては、教室の空気が変わって形成が逆転すること……言ってしまえば、自分の思い通りにことが進まなくなる現実を、退けたかったがために。
鵜久森は最後の瞬間まで、美月を“変えよう”としていた。
「ちゃんと言うけど、西野さん、おかしいよ。誰かを傷つけて笑ってることの、何が楽しいの?」
「標的を作って笑ってる時間なんて、大切な人生の無駄な時間でしかない」
以前、工学研究会の眉村(福崎那由他)と日暮(萩原護)が、相楽(加藤清史郎)に言っていたことを思い出す。「お願いだから自分たちをちゃんとハブってくれ」と彼らは土下座までして懇願した。それほどまでに、彼らは相楽を“ちゃんと”嫌っていたのだ。
鵜久森から美月に向けられた感情も、おおよそ似たようなものだったかもしれない。それでも鵜久森は、なりたい自分になるため、東風谷を尊重するため、そして、自分を攻撃してくる美月にさえも向き合うため……たった一人であの日、立ち入り禁止の場所へ向かったのだ。
そんな鵜久森の姿勢とは裏腹に、美月、そして優芽(田鍋梨々花)や桐子(田牧そら)は実に甘すぎる。
まず美月は、鵜久森に対して自分が何をしたか、そして、それに対する謝罪の言葉よりも先に、「この二人は関係ない」と優芽、桐子を擁護。そして、あたかも浜岡がけしかけたのがすべての要因だとでも言うような話し方をした。
「そんなつもりじゃなかった」と涙ながらに話す美月の様子は、見方によっては反省している風にもとれるが、九条は逃がさない。
「あなたたちが、たやすく人を区別し、見下し、傷つけてきた。その日々のおこないが繋がって、こんなことが起きたんです」
「そんなつもりじゃないその言葉が、その行動が、どれだけ相手の心に積もっていくのか。それを想像しないから、こんなことが起きたんです」
「自分を守るために、人を傷つけることが癖になっている。無自覚な動物そのものです」
人によっては、九条の言葉は強すぎる、と思うかもしれない。美月たちが加害者であることに変わりはないが、いつだって、加害者の権利を主張する声は挙がるものだ。公平で公正で平等な視点を持つ人なら、なおさら、美月たちの事情や心理を慮ろうとするだろう。
しかし彼女たちは、償おうと思っても相手がいないと言い、償う方法がわからない、どう生きていったらいいのかわからない、と言って泣くのだ。加害者は謝るときでさえ、わからない、わからないとばかり繰り返す。
考えることを放棄し、自分の正当性ばかりを主張し、償う方法さえ他人から教えてもらおうとする。その態度こそ、九条が言った「無自覚な動物」に値する。
彼女たちができることといえば、鵜久森のことを忘れないこと、そして、“許されないまま”生きていくことだけなのかもしれない。
美月たちが罪を告白したことで、鵜久森の件は収束しかけている。最終回が近くなってきたこのタイミングで、視聴者の脳裏にはあらためて、あの疑問が舞い戻ってくるだろう。
卒業式の日、九条を突き落としたのは誰なのか?
相楽が浜岡に言っていたことから、「美月たちの教室での現状を浜岡に伝えた人物」がいると推測できる。そうなると、メタ的な見方をしてしまえば、これまであまり物語に関与してこなかった(=出番が極端に少なかった)生徒がいきなり浮上してくるとは考えにくい。
そうすると、やはり……少々愉快犯のようなポジションで回遊していた星崎(奥平大兼)の真犯人説が、再び浮上してくるのではないだろうか?
※この記事は「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」の各話を1つにまとめたものです。
→元記事はこちら
→目次へ戻る
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)日本テレビ