<最高の教師 1年後、私は生徒に■された>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第8話ストーリー&レビュー
第8話のストーリー
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「我々は、全力でその理由と向き合いたいと思っています」——— 。九条(松岡茉優)と3年D組の本気がもたらした学校の記者会見は、鵜久森(芦田愛菜)の母・美雪(吉田羊)の心にしっかりと届く。自分も今以上に向き合わなければ…と顔を上げる美雪。しかし、向き合うべきは娘を追い込んだ“何か”ではない。あの日、娘は何をするためにあの場所へ行ったのか、最後にどんな顔をしたのか、ただそれが知りたい。だからこの件で誰かが追い詰められるようなことは望まない…。そんな美雪の思いを九条も力強く受け止める。
——— だが、教室では一つの『事実』を獲得した生徒達がある人物を追いつめる。クラス全員から疑いの目を向けられたのは、——— 相楽(加藤清史郎)。浜岡(青木柚)が鵜久森の事件の日に学校に来ていたこと、そしてその浜岡と相楽が繋がっていたこと……、それが露見した教室内で、相楽はクラス全体を凍り付かせる衝撃の一言を口にする。「アイツは、俺のせいで死んだ」——— と。
彼のその一言の意味とは何か——— 。自分の『本当』を曝け出せない貴方へ。過去に、自分に、見て見ぬフリを続けた人物は、全てと向き合う一日を過ごす……。彼は本当に……犯人なのか!?
第8話のレビュー
「憶測でさまざまなことを決定するのはやめましょう」「人の意見は得てして、そう考えるほうが自然だというほうへ流れていく」
2019年放送の日テレ系列ドラマ「3年A組 ―今から皆さんは、人質です」で、とある容疑がかけられた教師がSNS上で炎上しかかる描写があった。柊一颯(菅田将暉)のおかげで食い止められたが、「何事もなくてよかった」では済まされない。多くの憶測、噂、勝手な想像が一人歩きをはじめ、一人の人間が社会的に抹殺されるところだった。
人は弱い。驚くほどに、絶望的に弱すぎる。一人では生きていけないし、隣の人が「右」と言ったらそれにならう。自分がこうだから相手もこう、となんの疑いもなく信じるし、自分では何も考えず、9割が支持している意見をそのまま自分のものにする。
鵜久森(芦田愛菜)が亡くなった一件から、相楽(加藤清史郎)に対する風向きは強まる一方だった。九条(松岡茉優)は繰り返し、憶測や先入観でものを語ることを避けるよう訴えるが、やはり相楽への疑いが薄まることはない。
九条が相楽に投げかけた言葉は、彼の最後の“支え”をへし折った。
「弱い自分を隠すのに必死で、楽しい自分、幸せな自分を見せつけるのに必死で、ずっと目をそらし続けた。その結果、無自覚なフリをして、人を傷つけた。自分がひどい人間になっていると本当は気づきながら、知らないフリをして笑った」
「傷つく人がいるのをわかっていながら、どうして自分のプライドを大事にできるんですか?」
相楽がこれまで、必死に自分の顔に笑みを張り付けながら防御してきた“プライド”を、ズタズタにした。見なければ、言葉にしなければ、なかったことになる諸々に焦げつくような光を当て、誤魔化すことを許さなかった。
相楽は、クラスメイト全員の前で本当のことを話した。文化祭をめちゃくちゃにした事件は、やはり相楽が浜岡(青木柚)に金を払ってやらせたこと。しかし、鵜久森が亡くなった一件には関わっていない。少なくとも、彼が直接何かをしたわけではない。
鵜久森の位牌に向かって、泣き、慟哭し、喉からも血を流しかねない必死さで、相楽は「ごめんなさい」と繰り返す。しかし、遅すぎる。遅い、遅い、何もかもが遅い。彼の言葉は鵜久森に届かず、永遠に許されない。それさえも、背負っていかなければならない。
相楽に対しては、変わる最後のチャンスを与え、他のクラスメイトに対しては、憶測や先入観で人を断罪しないよう「考え続けること」を促す。九条の“授業”は、どちらに肩入れすることもない。
悪いことをした人間には、謝ること。謝ることしかできないこと。謝ったうえで許されないこともあると教える。そして、傷ついた人間には、“許さない”という選択肢もあることを提示し、それを選ぶことを責めもしない。
物語は佳境に差しかかる。この流れに乗って考えるなら、黒幕は浜岡だ。しかし、繰り返し思い出そう。「憶測で物事を決定してはいけない」「人は得てして、そう考えるほうが自然だと思う意見に流れていく」……ふと立ち止まり、考えをめぐらせることが、傷つく人を減らす一歩になると信じている。
※この記事は「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」の各話を1つにまとめたものです。
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