<ブギウギ・大阪編>1週~5週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第11回のレビュー
第3週「桃色争議や!」(演出:福井充広)からはいよいよ趣里さんの登場です。「四季の宴」の”季節は廻る”という歌に乗って、季節は6回巡って、梅丸少女歌劇団に入団して6年、福来スズ子として活動中。未だ脇役ですが、後輩もできて、かつて橘アオイ(翼和希)が厳しかったのと同じように、集団責任を問うのでした。でもまあ、それはかわいいほうで、ギスギス感はありません。
趣里さんの大阪弁はかわいいおばちゃんという感じです。
それより、後輩の秋山美月(伊原六花)のほうがギスギス感があります。
花咲歌劇団から移ってきて、男役をやっている美月は芸に厳しく、同僚にダメ出しをして萎縮させます。
伊原六花さんは、大阪府立登美丘高校ダンス部のキレッキレの「バブリーダンス」のセンターで、注目され、俳優デビューしました。
ダンスといえば伊原さん。「ブギウギ」ではきりっと短髪、オールバック、男役のいでたちでステージに立つ姿がかっこよかったけれど、ダンスを披露してほしいです。
同期のリリー白川(清水くるみ)は可愛さで、役がついていますが、スズ子と
桜庭和希(片山友希)は未だ脇役。自分の売りを探しているところです。リリーは可愛さをフルに使っていますが、スズ子は彼女のような開き直りができません。
スズ子が自分の”売り”を探していることと、時代の不景気が重なります。「売上半分やでー」とはな湯で常連たちがぼやいています。梅吉(柳葉敏郎)はアホのおっちゃん(岡部たかし)みたいなのがそこらじゅうに増えたと言います。
易者(なだぎ武)は占い客が減ったと言いますが、不景気のときのほうが占いにすがる人は多そうですが……。
昭和8年、「蟹工船」で有名な労働者について書くプロレタリア作家・小林多喜二が特高に検挙され、拷問を受け亡くなった年です。
日本が国際連盟を脱退したのもこの年です。
昭和4年、世界恐慌が起こり、労働者たちにとって経済的に厳しい時代、労働者の運動が盛んになっていました。
梅丸株式会社も人気劇団とはいえ、不況のおり、新展開を模索して、大和礼子(蒼井優)が演出を行うことになります。が、彼女もまた、肩に力が入って、場をギスギスさせ、アオイに注意されてしまいます。
いろいろ心配なこともあるなか、スズ子の個人の生きる道はいずこーー。
礼子は、続けていれば、いつか必ず見つかるからと助言します。
自分は何をするために生まれてきたのかーー。ゴンベエ(宇野祥平)は相変わらず記憶を取り戻していませんが、器用に裁縫の才を発揮し、六郎(黒崎煌代)のために亀の帽子を作ります。六郎は、学校が好きではなくて、行っていないようです。
不況、労働運動、不登校、自分探し と朝ドラに繰り返し出てくるキーワード。
これらをどう料理するかが作り手の腕の見せ所。”繰り返していたらいつかは飽きられる”という林(橋本じゅん)の言葉はたぶん、朝ドラ作り手も同じことを思っているに違いありません。
※この記事は「ブギウギ」の各話を1つにまとめたものです。
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