<らんまん・東京編>6週~10週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第47回のレビュー
万太郎(神木隆之介)は印刷工場で働き始めます。若い青年が見倣いからはじめることは珍しくないけれど、大店の坊っちゃんが、自分で石板印刷をやろうという、他者から見たら無謀というか厚かましい了見のため、職人にいじめられるはめに。
いや、単に重い砂を渡しただけで、ひ弱な万太郎が受け取れなかっただけであり、いじめじゃなくてふつうのことなのかもしれませんが(それが現代ではハラスメントになる可能性はあります)。
砂をかぶった頭に水をかぶっていると、竹雄(志尊淳)が心配して止めます。
「暑いき」というのに「着ちょり」と布団をかけて無理に寝かせる竹雄のまめまめしさ。しかも竹雄は自分が石板印刷をやるとまで言い出します。相変わらず、健気です。
ところが、
「せっかくこんなおもしろいときに居合わせたんじゃ じっとしてはおられんじゃろう?」万太郎は植物学を日本に根付かせるためにがむしゃらです。
(万太郎)
「前に進みたい」
なんの不自由もない峰屋の当主が下働きするなんて許せないと嘆く竹雄を見て、万太郎は印刷工場で住み込もうとまで考えます。
天才的な人物の考えや行動は常軌を逸しているもので。
凡人的には、万太郎の態度は、印刷工場の職人に失礼な気がしてしまうし、幼少期、肺が弱かったのに、いつの間にか直って、丈夫になって、砂まみれになっても平気。やりたいことのためなら、平気で誰にでも土下座できる。
万太郎には一般常識や世間体なんて関係ないのです。
カラダが実は丈夫になったのは、植物採集で野山を駆け回っていたからなんでしょうけれど。
心配した竹雄は
「朝飯はわしの目の前でちゃんと食べてください」と言い、美味しい朝ごはん(オムレツ)を万太郎に出して言ったことはーー
(竹雄)
万太郎と竹雄の状況はまるで夫婦のようにも見えます。
夫が忙しいから、せめて朝ごはんだけ一緒に食べましょうというのは、栄養価のあるものをせめて朝だけ食べさせたいという思いやりでもあります。これがまるで妻の考えることのようではありませんか。
さらに、家庭の財布を、竹雄が管理しています。
つまり、万太郎は、妻のような(母とも言えるが)存在に支えられて日々の研究や生活を滞りなく行いながら、寿恵子(浜辺美波)に心惹かれているという状況なのです。
このへんも自由だなあと思いますが、選ばれた人はそういうものなのかもしれません。
寿恵子の母まつ(牧瀬里穂)は「あの人、前ばかり向いているんだろう。立ち止まって、あんたを振り向いて、(寿恵子の好きな本を)一緒に読んでくれるかねえ」と気にします。
万太郎は、竹雄から寿恵子に変わっても、ひとりで前を向いて進んでいってしまいそう。寿恵子は「足を引っ張るのもいやなの」と言うので、万太郎にとってちょうどいい相手なのかもしれません。
この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。
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