<らんまん・東京編>6週~10週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第33回のレビュー
第32回でクサ長屋の東大生・堀井丈之助(山脇辰哉)に、泣いて帰って来るだろうと予測されていた万太郎(神木隆之介)ですが、勇んで東大の植物学教室を訊ねます。なんとか初代教授・田邊(要潤)と出会うことはできました。田邊は外国の大学を出ていて、何かと、英語を使います。いけすかない印象もありますが、いやな人ではないようです。
どちらかといえば周囲のひとのほうが無理解で。
万太郎の植物標本を「押し売り」と言ったり、小学校中退であることをばかにしたりします。
このままではやっぱり泣いて帰るはめに……と思ったら、田邊が土佐のひとには恩義があると「ノブレス・オブリージュ」という考え(地位あるものには義務がある)に則って、持ってきた植物標本を見ると言います。
ところが万太郎はけっこうですと突っぱねます。
「あなたがたは黙ってわしが世界に打って出るが眺めちょったらいい」
(万太郎)
と英語で啖呵を切ります。
強気に出るときは英語を使うのが万太郎流であります。
万太郎にはプライドがあり、お情けで自分の研究を見てもらう気はないようです。
「土佐の野山はわしの血肉じゃ」
(万太郎)
自分がいかに偉業を行っているか語ったあと、結局、標本を見せるのですが……。
自分をアピールするのがうまい。決して下手に出ず、堂々としているのは、お坊ちゃん育ちだからでしょう。
あまりに自信満々なので、次第にみんな興味を持ってしまう。
実際、珍しい標本を丁寧に作ってあったので、研究者たちはざわつきます。
万太郎は、この研究室にある標本を見せてくれたら、その検定も手伝うと交換条件を出します。ほかの研究者たちはその分、自分の研究をやれるので、すっかり万太郎を受け入れる気になっています。
交換条件はなくても、万太郎の標本には値打ちがあると田邊は出入りを認めます。
握手しようとしてぐっと抱きしめるという、
トントン拍子にいい方向に進むのは朝ドラあるある。
ただひとり徳永(田中哲司)だけが気に入らない様子ですが、旧幕府時代を引きずっている「化石」と田邊は窘めます。徳永は、設定では武家出身。人間を身分で分けるクセが身についてとれないのでしょう。東大に誇りを持ち、万太郎が小学校を出てないことにこだわります。
旧幕時代を引きずった者と、海外に目を向け広い世界を見ようとしている者。明治時代になっても、まだ江戸時代の開国派と攘夷派の対立が人々の心に根深く残っているようにも見えます。万太郎は徹底して新しい時代を切り拓いていこうとする人たちと出会ってきました。
「あいつはきっと火種になる」と意味深なことを言って去っていく徳永。彼の腰巾着的なのが、講師の大窪(今野浩喜)です。
なんとか第一関門は突破した万太郎ですが、これからどうなる? たぶん、だいじょうぶ。それが朝ドラ。のんきなうさぎもかわいかったです。
※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。
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