続・朝ドライフ

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2023年05月20日

<らんまん・東京編>6週~10週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<らんまん・東京編>6週~10週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第31回のレビュー

第7週「ボタン」(演出:渡邊良雄)は、万太郎(神木隆之介)寿恵子(浜辺美波)がそれぞれ「見たことない世界」に想いを馳せていきます。ふたつの道がやがてひとつに出会うはじまりのようです。

寿恵子と再会し、すっかりにやける万太郎。寿恵子さんは花のような人だと、しかもこれまで会ったなかで最もみずみずしいとまで。なるほど。「らんまん」に出てくる花が造花のため、みずみずしさは残念ながら足りないのは、寿恵子のみずみずしさを引き立てるためかもしれません。

万太郎の歩く道には黄色の西洋タンポポが咲いています。自分らしく生きる「金の道」の道標のようです。

寿恵子への想いを募らせながら、ふと、自分がまだ何者でもないことを思い出し、まずはその道に邁進しようと考える万太郎は、立派です。恋にうつつを抜かすことはしないのです。

寿恵子も読本に夢中で、恋より、物語のなかの尊い関係を大事にしている様子。恋より大事なものを持ってる点で、万太郎と寿恵子は似ています。

寿恵子の元に、縁談話を持ってくる叔母のみえ(宮澤エマ)。でも「どうせ妾」と「妾なんてつまらないよ」と母・まつ(牧瀬里穂)は言います。というのも、彼女が元柳橋の有名芸者で、彦根藩の上級武士に見初められたとはいえ、正妻ではなかったということのようです。妾だと葬式にも出られないそうで……。これは「ひよっこ」の富(白石加代子)を思い出すエピソードです。綾役の佐久間由衣さんが「ひよっこ」の時子と重なる役柄ですが、時代がまったく違う「ひよっこ」とリンクするのはなぜでしょう。「ひよっこ」が女性解放や、主人公が著名人でなくてもいいという理念の元に描かれた作品で、そこに共鳴しているのかもしれません。

寿恵子の読本好きは、彦根藩の上級武士である父親譲りらしい。そのお父さんが最近、亡くなったらしい(お父さんが日本は世界と比べて遅れていると言っていた、というのも、江戸の終わり、彦根藩藩主だった井伊直弼が開国派だったことを表しているのではないかと推察します)。そんな状況を描きつつ、まつとみえと寿恵子が3人で語らう場面は、女性の強さが出ていて面白かったです。
3人にお菓子を持ってきたり(甘いものに飽きたらとあられを持ってくる気が利くひと)、黙々と尽くす菓子職人の文太(池内万作)が男性というのが男女逆転的です。

みえから「東京大学の田邉教授」という名前が出てきました。東京大学といえば、万太郎が目指す場所。田邉教授という人物は寿恵子と万太郎に絡んでくるのか気になります。

一方、万太郎は長屋の住人とも楽しくやっています。落語家・牛久亭九兵衛(住田隆)と話している様子は、大河ドラマ「いだてん」を思い出してしまいます。神木さんは落語家を目指して修業している人物を演じていました。万太郎の軽妙な語りは、そのときの、落語家的な話の仕方に似ている気がします。

※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。

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(C)NHK

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