<らんまん・東京編>6週~10週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第30回のレビュー
植物研究に好都合の住まいが見つかり、スタートラインを切った万太郎(神木隆之介)。引っ越しのお礼に菓子を買おうと、白梅堂に向かいます。
発見したのは竹雄(志尊淳)でしたが、万太郎も「白梅堂」という名前を気にかけてはいたようで、期待して見に行くとーー。
寿恵子(浜辺美波)が!
と思ったら、それは妄想で、男性職人・文太(池内万作)でした。
店にあるお菓子を全部買って帰る万太郎。「峰屋は若の財布じゃない」と節約しろと言われているにもかかわらず、いきなり散財しています。いくら、長屋の皆さんへ振る舞うものとはいえ……。
万太郎が帰ったあと、寿恵子がお店に出てきます。お菓子を全部買っていった剛毅な客はどういう人かと見に外へ出ると(お菓子全部買わせたのはこのための振りですね)、落ち込んでタンポポに話しかけてる万太郎を見つけます。
遠くから「カエル様」と声をかけるのではなく、いきなりぐいっと万太郎と竹雄の間に割り込んで万太郎の顔をのぞきこむ寿恵子のインパクト。
そして、万太郎が植物に思いを語りかけているのだと言い訳すると、「でも人は口があるから お互いしゃべれますね」と微笑む寿恵子に、「ズギャン!」と撃ち抜かれる万太郎。
「ズギャン!」ってすごいワードです。
漫画みたいな流れになる理由はあとでわかります。寿恵子の部屋には本がいっぱい。「南総里見八犬伝」(表紙には「南総」の文字はない)を音読して、「桃園の義を結びぬ」というフレーズに「信乃と現八、尊い!」「馬琴先生天才すぎる〜」と悶えます。
寿恵子は、小説おたくだったのです。
万太郎の「実はわしカエルじゃのうて人間です」という妙な言葉を気に入った様子だったのは、作りこんだ世界ーー物語が好きだからなのでしょう。
寿恵子は万太郎との出会いによって、奇想天外な物語のような世界に足を踏み入れていくのだろうと想像が膨らみます。この彼女の導入部、甘酸っぱく、くすぐったい感覚を刺激されて、素敵。
信乃と現八の「桃園の義」(義兄弟の関係)は、万太郎と竹雄との関係をも彷彿とさせますから、きっと寿恵子は万太郎と竹雄の関係にも萌えることは想像に難くありません。
さらに、寿恵子の叔母・みえ(宮澤エマ)が彼女に縁談話を持ってきて言うセリフが、
「これからはどんな生まれの女だってお姫様になれるんだから」
(みえ)
おおおお。これまで、ちょっと固い言葉で男女平等を謳ってきたこの物語が、東京という文化が発展している場で、そこに生きる女性キャラの生活によって、柔らかな表現になってきました。
東京に咲く花は、高知とはまた違う。それが寿恵子です。
ところで。みえが貫禄ありすぎて、通りに立っている姿が、女すりみたいな怪しさでした。
※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。
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