<舞いあがれ!・ 工場編>12週目~17週目の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第73回のレビュー
営業の説得力を高めるため舞(福原遥)はネジの勉強をはじめます。笠巻(古舘寛治)によるねじ教室が開かれ、そこにめぐみ(永作博美)も参加します。「ようやるわ」としらけている山田(大浦千佳)ですが、職人の土屋(二宮星)も「ネジ好きなんで」と参加します。
夜、帰宅しても舞は勉強を続けます。その場所が自分の部屋ではなくて、浩太(高橋克典)が使っていた土間ぽい物置のような、いわゆる男の隠れ部屋的な場所です。そこでお父さんを偲んでいるのでしょう。
と、そこへ、悠人(横山裕)がふらっとやって来ます。
食卓ではカレーのにおいがして、「カレーあるけど」「いらん」というやりとりをしていると(たぶん悠人はちょっとカレーに惹かれている)、めぐみが帰ってきて雪乃(くわばたりえ)からもらった梨を悠人に「お父ちゃんにお供えしてあげて」と渡します。それも拒む悠人。
カレーと梨という素朴なアイテムを使いながら、悠人が相変わらず素直になれない様子をていねいに描写します。最近、こういうところを省略しがちな作品も多いですが、やはりこういうところが大事だと思います。
本題は、悠人がめぐみに、工場の土地にマンション建てたらどうかと提案することです。彼は彼なりに心配していますが、その表現がねじれきって、うまくいきません。きっとお辛いことでしょう。
兄は屈折しまくって淀んでいますが、舞はまっすぐ澄み切っています。久留美(山下美月)が八神(中川大輔)とつきあうことになり「ハッピーハッピーハッピーやで」(by津田〈たくませいこ〉)な状態ですが、柏木(目黒蓮)と別れた舞に気を使ってそのことを言わないようにしていました。舞は全然気にせず心から久留美の幸せを祝います。その背景には、貴司(赤楚衛二)からすてきな短歌が書かれたはがきが送られてきたからというのもあるでしょう。歌人でもある脚本家・桑原亮子さんの書く短歌はホンモノ感に溢れています。
久留美もほんとうにいいひとで、自分の話ばかりしてしまったと舞の話を聞こうとします。こんなに穏やかで気を使い合う友人関係、すてきですよね。
いい人間関係のなかでがんばる舞。第73回はようやく上向いてきたように感じますが、相変わらず山田だけいやな感じ。合コンの前にマニュキュア塗って乾かしています。いまのIWAKURAの状況でこんなに暇な社員を残しているのって、よっぽど山田が仕事が速くて正確な優秀な人物だということなのでしょうか。
【朝ドラ辞典 二宮星(にのみやあかり)】「カーネーション」(2011年度後期)でヒロイン糸子の子供時代を演じた俳優。成人糸子役の尾野真千子と共演しているタイトルバックも印象的で、視聴者に愛され、のちに糸子の次女役も演じた。2002年、大阪生まれ。11年経って二十歳になり、「舞いあがれ!」で朝ドラに再び出演した。
※この記事は「舞いあがれ!」の各話を1つにまとめたものです。
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