<ブギウギ ・東京編>6週~10週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第45回のレビュー
戦況の深刻化によって梅丸楽劇団は解散。スズ子(趣里)は歌を忘れたカナリア状態に陥ります。大阪の林(橋本じゅん)から戻ってほしいという話もあり、いっそ大阪に戻ろうかと思いもしましたが、大阪も同じような状況で、演目が規制されていました。しかも、実家ももうありません(あるけどゴンベエのものになっている)。思い悩むスズ子に羽鳥(草彅剛)は、「君は歌うことしかできないだろう」「君が楽しめる場所で歌えばいい」と、茨田りつ子(菊地凛子)の公演チケットを譲ります。
それは「茨田りつ子とその楽団」公演で、スズ子は茨田の歌に心打たれます。
菊地凛子さんの「別れのブルース」、茨田のモデル・淡谷のり子さんのような、落ち着いた歌いっぷりのなかに、憂いが満ちていて、しびれました。
楽屋を訪れたスズ子に茨田は、他人の歌に感動している場合ではない、自分の歌を歌えと発破をかけます。
羽鳥も茨田も、きっとスズ子を心配してくれているんでしょう。
本人目の前にしてはわからないこともあるもので。
羽鳥は、こんな時代でもマイペースとスズ子は思っていましたが、麻里(市川実和子)は、羽鳥も「食事ものどを通らない」ほど悩んでいることを知っていました。羽鳥はその悩み、苦しみを、音楽を作ることで跳ね返そうとしているのです。
梅吉(柳葉敏郎)が喧嘩騒ぎで警察に連行されたのは、屋台の客がスズ子や楽団の悪口を言っていたことを怒ってのことでした。ただの飲んだくれの、ダメ度が加速した親父ではなかった。誰もが、他人には見せない、強がりな部分を持っているのです。
スズ子は、屋台で、梅吉と飲み、父のツヤ(水川あさみ)を忘れることなんてできない強い強い想いを聞かされ、歌おうと決意します。「飲めば飲むほどツヤちゃんに会いたい」と、でもツヤを思って、スズ子の肩をぎゅっと抱きしめる姿は個人的になんかいやでした。
苦しいのは自分だけじゃない。懸命に、自分の歌を守ろうとする羽鳥や茨田。懸命に、娘の尊厳を守ろうとする梅吉。そして、その梅吉は、耐え難い喪失に苦しみ続けていました。
自分のために、自分が楽しむために歌うことの重要性と、その歌が何のためにあるのか。たぶん、梅吉のような哀しみを背負った者たちに光を届けるため。スズ子はそう考えたに違いありません。
「福来スズ子とその楽団」を作ることにして、団員を集めます。まず、頼ったのは、一井(陰山泰)。
すこし、光が差し込んだーーと思いきや、次週予告ではなにやらますます状況が深刻化しそうです。どうするスズ子。しかも、楽団の名前、茨田の丸パクリですが、いいのでしょうか……。
※この記事は「ブギウギ」の各話を1つにまとめたものです。
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