<ちむどんどん・沖縄編>1回~25回までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第2回レビュー
「ちむどんどん」第1週「シークワーサーの少女」は先週までやっていた朝ドラ「カムカムエヴリバディ」と少しだけ重なっています。「豆腐」と「お菓子(あんこ)」です。
毎朝、比嘉暢子(稲垣来泉)は近所に「豆腐」を買いに行きます。豆腐を売ってるのは同級生の砂川智(宮下柚百)。「カムカム」でも主人公・安子(上白石萌音)の幼馴染・きぬ(小野花梨)の家が豆腐店を営んでいました。
そして、お菓子(あんこ)。
暢子は美味しいものに目がなくて、東京からの転校生・青柳和彦(田中奏生)に東京の食べ物の話を聞こうとつきまといます。
ある夜、和彦が父・青柳史彦(戸次重幸)について訪ねて来ます。
史彦がもってきた手土産のお菓子に暢子は「ちむどんどんする」と大喜び。
そのお菓子は最中です。「カムカム」の回転焼きとあんこが決め手である点では仲間です。
1964年、これがきっと史彦なりの上等なお土産なのでしょう。
菊の花びらのような最中を東京土産として持ってきた史彦と、暢子の母・賢三(大森南朋)と優子(仲間由紀恵)は戦争の経験を語り合います。
東京のあんこをさらさらして美味しいと無邪気に味わっていた暢子ですが、夜遅く、優子が泣いている姿を見てしまい……。
「ちむどんどん」がただただ明るくさわやかで美味しいものいっぱいのドラマではなく、その奥に何かを秘めていることがわかります。
史彦は民俗学者で、沖縄の歴史や文化を調べ語り継ごうとしていますが、気になった点がひとつ。
夜、比嘉家に挨拶に来て、いきなり「三線ですか」「糸作りですか」「写真を撮っても……」とぐいぐい取材者目線を注ぐのです。
取材のアポをとって訪ねたわけではなくて、あくまで引っ越しの挨拶に来て、この前のめり感はいかがなものかと、取材を仕事をしている身としてはすこし気になりました。話題が重くなってしまったからとはいえ、せっかく出してもらった酒のつまみに手もつけずに帰ってしまうし……。
沖縄に限ったことではないですが、地域を舞台にしたドラマを描くとき、観光客視点ではなくて、
地域の生活に根付いたものにすることが大事。あえて観光視点の人物を置いて、そのぶしつけさを反面教師のように描くこともあるでしょう。史彦はそういう設定のキャラではなく、地域に暮らしながら、本質を知っていくタイプの人物と思うのですが……。
それはともかく、暢子のお母さんで、とても慈悲深い優子を演じている仲間由紀恵さんのたたずまいが沖縄の生活に馴染んでいるように感じて見入ってしまいます。
仲間さんは沖縄出身。筆者はいまから20年前の2002年、仲間さんの代表作で沖縄(宮古島)ロケもあった「TRICK」を演出した堤幸彦さんの本「堤っ」のなかの堤さんが沖縄(宮古島)で仲間さんを撮影する企画に同行したことがあります。そのときの対談で仲間さんは、沖縄といっても海をはじめとして自然いっぱいなところばかりではなく、仲間さん自身が育った浦添市は自然が多い地域ではないのだと語っていました。
返還前の沖縄を舞台にした「ちむどんどん」の世界が、沖縄出身だからといって仲間さんにお似合いだとひとくくりにしてしまうのはそれこそ観光目線だと思いながらも、それでもなぜかものすごくハマって見えます。
本の取材のときに訪ねた宮古島は仲間さんが子供ときによく行っていた場所だそうで、そこの民家やそこに住んでいる方々から流れる空気が「ちむどんどん」の居間の空気(時代も環境も違いますが)になんとなく似ていたような気がして……。
仲間由紀恵さんがいることで「ちむどんどん」に安心感が生まれているように感じます。
※この記事は「ちむどんどん」の各話を1つにまとめたものです。
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