<ちむどんどん・沖縄編>1回~25回までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第15回:暢子、就職内定を蹴る
暢子(黒島結菜)が就職先の社長の息子に馬鹿にされて辛抱たまらず手を出したことが、賢秀(竜星涼)のときと同じく問題になってしまいます。今度は優子(仲間由紀恵)も一緒に謝罪に行きます。
会社の人に、女性は「自己主張せず一歩引いて男を立てる」ものだと言われた暢子はカッとなって自ら、この会社で働くことを拒否します。
「暢子、よくやった!」と言う賢秀のように、観ながら、胸がすきっとなりました。ところが、暢子は帰りに優子に悩みを吐露しています。
「この村も沖縄も自分が女だということも全部大嫌い」
なかなかのヘヴィーワードが飛び出しました。なぜ、ここまで暢子が自分と故郷を責めるかと言うと、これまで走りでは誰にも負けなかった彼女が、ついに負けてしまったのです。
自分のわずかながらの取り柄・走ることすら失われてしまったことで、暢子には拠り所がありません。
でもなんだかここが惜しいなあと感じました。走りで男の子に勝って来た暢子が男の子に負けてしまったあと、会社で女は「「自己主張せず一歩引いて男を立てる」ものと言われて、”女”というものに絶望するという流れになっています。ここで女の身体が不利であることをもう少しデリケートに描いてほしかったと感じました。
比べてはいけないですが、黒島さんや歌子役の上白石萌歌さんも出ていた大河ドラマ「いだてん」は女性のスポーツ選手がいかに身体的なハンデと戦ってきたか描かれていましたので、女性を主人公にした朝ドラでそこが描かれないことが惜しいです。
もうひとつ惜しかったのが、優子の告白。
すぐにカッとなってしまうことを反省する暢子に優子が、自分も昔はすぐにカッとなっていたと驚くべきことを言うのです。そこは「若草物語」の一場面を思い出させます。
「ちむどんどん」が四姉妹を描いた名作児童書「若草物語」をリスペクトしていることは公式で語られています。「若草物語」にも穏やかな母がかつては癇癪持ちだったことを癇癪に悩む次女・ジョーに明かす場面があります。母が癇癪をどう抑えることができるようになったかが丁寧に書いてあり、筆者は子ども心に記憶に鮮明に残っていました。母親がどうやって変化してきたか、そこが大事なのですが、「ちむどんどん」ではそこはありません。のちにまた語られるときが来るのかもしれませんが。
全部じゃなくていいからちょっとだけ描写してくれると、優子のキャラクターがもっと彩られたような気がしますが、自分語りしないで暢子が腹を立てた理由を聞く優子も素敵でした。彼女がそこまで懐深くなった理由をいつか描いてほしいです。
「若草物語」の癇癪抑制エピソードはいずれもうすこし「ちむどんどん」にも生かされるかもしれません。気長に見ていきましょう。朝ドラは半年あるのですから。
下地先生(片桐はいり)と歌子の追っかけっこと、賢秀が博打でお金を稼いできてそれを暢子の就職断った祝いの費用にしたところは楽しかったです。
※この記事は「ちむどんどん」の各話を1つにまとめたものです。
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