<舞いあがれ!・起業編>22週目~最終週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第113回のレビュー
祥子(高畑淳子)が脳梗塞で倒れ、めぐみ(永作博美)と舞(福原遥)が五島に向かいます。幸い、症状はかなり軽く命に別状はなかったものの、左手と足の痺れがとれません。
これではもう船には乗れません。
祥子にとって生きがいである船。亡くなった夫のようなものですし、名前は娘の名前「めぐみ丸」です。そんな思いのこもった船に乗れなくなったら心の支えがなくなってしまううえ、生計も立てられなくなってしまうし、たとえ蓄えがあったとしても、手足が痺れて動きにくいといろいろ大変でしょう。
ひとり暮らしも無理そうです。ちょうど、愛用していたラジオも壊れてしまいました。夫の形見のラジオ。何度も修理してきたものがついに……。ラジオと祥子が重なり、切なさが募ります。
めぐみは決意して、祥子に東大阪で暮らそうともちかけますが……
「ひとりじゃなか、みんながおる」
(祥子)
これは「舞いあがれ!」でずっと描かれていることです。舞の「こんねくと」もそうですし、ひとりではできないことをみんなとつながって実現していくのです。
祥子もこれまでも五島の住人と手を携えて生きてきました。これからもそうできると考えています。
「まあドローンとや家族ぐるみのつきあいやねえ」とドローンを使った仕事をはじめた一太(若林元太)が言っていました。「家族ぐるみ」。これが大事なのです。
とはいえ、めぐみは心配でなりません。どんなにみんなが協力的でもほんとうの家族のようにはなりません。それぞれに家族があるわけで、毎日、ずっと面倒を見られるわけではないですから。
東大阪に引き取るより、めぐみが五島に戻る選択をするほうが得策のような気がしますが……。
「家族ぐるみ」といえば、舞とめぐみが五島に行くと、梅津夫妻が歩の面倒を見てくれます。もともと貴司(赤楚衛二)は岩倉に婿入りしたわけではなく、本来、歩は梅津の家の孫です。岩倉のリビングにわざわざ来なくても、貴司と歩が梅津家に行けばいいのに、とも思いますし、そもそも、隣なのだし、行き来したほうがいいように思いますが、そのためにわざわざ梅津の店以外の部屋のセットを建てるわけにもいかないのでしょう。岩倉家に遊びに来た体(てい)になります。
なにもかも舞に都合のいいように進んでいて、舞は他人の心配はするものの、他人に合わせることはなく、自分のやりたいことに他人がついてくるように流れを作り、私の幸せがあなたの幸せ、みたいなんだよなあ……というもやもやした感じは、勝(山口智充)の「はいチーズ、梅津、パファローズ」で払拭されました。笑いって大事ですね。
【朝ドラ辞典 家族(かぞく)】朝ドラのベースはホームドラマ。いろいろな家族の形、家族の問題、家族の幸せが描かれる。だから、舞台は家族の集まるお茶の間、居間が中心になっている。そこにはちゃぶ台やダイニングテーブルがあり、テレビやラジオがある。関連語:お茶の間、居間
※この記事は「舞いあがれ!」の各話を1つにまとめたものです。
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