<ブギウギ ・ブギの女王編>20週~24週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第109回のレビュー
4ヶ月のアメリカ巡業を経て、スズ子(趣里)が帰国。愛子(小野美音)とおずおずと感動の再会を果たします。
小さい子だから4ヶ月の間に「大きくなった」と感じるのも当然でしょう。
大人になると、時が経つことを早く感じるものですが、小さい子にとって、4ヶ月とは長そうです。
離れていた愛子を愛おしそうに抱きしめるスズ子。
このドラマがやけに子供に尺を使っていると感じるのは、ホームドラマ、母と子という題材を大事にしているのみならず、スズ子のモデルである笠置シヅ子さんの娘さんがいらっしゃるからなのではないでしょうか。
とすれば、もっとひたすら愛くるしい子供像を描いてもよさそうなものですが、愛子はひたすら寂しがりやで、ややひねくれた感じに見えます。大活躍する歌手の母をもった、父のいない子供の寂しい心を、ここぞとばかりに描いているのかもしれません。
確かに、母がどんなに大スターでも、子供にとっては関係ないこと。それよりもそばにいて構ってほしいだけでしょう。とはいえ、豪邸に引っ越して、次第に物心もついてくれば、贅沢な生活に満足を覚え、母がスターであることにもプライドをくすぐるようになるかも。愛子はこれからどんなふうに育つでしょうか。
豪邸に引っ越してきたら、ご近所づきあいがはじまりました。三鷹時代はいっさい近所づきあいをせず、ひっそりと暮らしていたスズ子ですが、引越し先では有名人。ご近所さんも浮足立った気持ちでお呼ばれします。子供たちは広い庭で遊んでいます。
ただ、ご近所の主婦たちは、このへんは旧家の人が多くて芸ごとの方は馴染みがないと言うなど、やや閉鎖的な雰囲気も感じますし、いかにも表面的なつきあいになりそうな印象です。こんなつきあいだったら、ないほうがよさそうな気もします。
引っ越して1年、家族団らんの日々、香川の梅吉(柳葉敏郎)が危篤という電報が届きました。梅吉は癌を患い、写真館も閉じて、自宅で寝たきりになっていました。
仕事を調整し、愛子を連れて、急ぎ香川に向かうスズ子。愛子ははじめて海を見て、はじめて祖父に会います(赤ちゃんのときに一度会ってはいますが)。
広くて清々しい海は気に入り「香川ええとこやな、好きや」と喜ぶ愛子ですが、祖父に対しては距離があります。危篤ということがわからないから、「マミー、遊びにいこう」などとぐずります。
ただ、亀は気に入って「かわいいわあ」と愛でます。この言い方がかわいかった。
梅吉は「六郎(黒崎煌代)の分まで生きとんのやろ」と、亀を大切にしていたようです。
あんなに活発だった梅吉が動けず、布団に入ったまま。でも、神妙なままでは終わらないのが「ブギウギ」です。
来てくれたことで「2時間ほど寿命が伸びた」という梅吉。
「相変わらずつまらんなー」と返すスズ子。
そして、スズ子が倉庫で、梅吉がこれまで撮った写真を見ていると、水着の女性たちの写真がいっぱい。以前、東京に来たときに、そんな話しをちらっとしていましたっけ。露出度は水着以上のものはなくてホッとしました。
水着であろうと、家族写真であろうと、皆、自然な笑顔です。花田家の写真もそうですが、全員カメラ目線の家族写真ではないところが、「ブギウギ」の良いところです。
ところで、第109回では、スズ子がご近所さんに「がっかりしてまへんか、うるさいおばはんで」と言っていました。
第107回では、麻里(市川実和子)と大野(木野花)が「うるさいおばさん」と自分たちのことを言っていました。「うるさいおばさん」を3連発することでおもしろさを狙っているのだと思います。でも、女性視聴者のほうが多いであろうドラマで「うるさいおばさん」という言葉を何度も使うのはどうなのでしょう。そんなことを問うのも「うるさいおばさん」的ではありますが。
たぶん、「ませませ」言葉の豪邸のご近所さんは「うるさいおばさん」にぴきっとなり、
はな湯で育ったスズ子は「うるさいおばさん」に罪悪感なく、ケロッと使っているのでしょう。
※この記事は「ブギウギ」の各話を1つにまとめたものです。
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