<相棒 season20>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第11話レビュー
「相棒」11話は元旦恒例のスペシャル放送だ。
今回は、「刑事コロンボ」でおなじみ、犯人が誰なのかが視聴者にあらかじめ明かされるスタイルで物語が進む。争っていた男性が頭を打って倒れてしまったのをきっかけに、殺人、誘拐に手を染めていく政治家秘書・結城(弓削智久)を、右京(水谷豊)と冠城(反町隆史)が結城の上司である与党政調会長・袴田(片岡孝太郎)ともども追い詰めていくストーリーとなった。
事件に絡むのは、結城と争い脳震盪のショックで記憶をなくした男性“湊健雄”(イッセー尾形)、現場の公園でスマホを落としてしまった少年・早瀬新(西山蓮都)と、その友人で公園にいた袴田と結城をスマホで撮影した峰岸聡(川口和空)、スマホを持ち去った結城のことを突きとめてほしいと新から頼まれたシステム・エンジニアの遠藤(尾上寛之)そして、教会に運ばれた湊の面倒を見る冠城の姉・由梨(飯島直子)らだ。
湊は一体誰なのか? 彼は身に着けていたものを持ち去られ、実は違う名前なのに湊が自分の名だと思いこまされていたと後から判明したが、その正体は最高裁判所判事の若槻正隆。事件当日、袴田は自分たちに有利な判決を得るために若槻を懐柔しようと結城に呼びに行かせた。しかし、若槻が拒んだために争いとなったのだ。
若槻は死んだと思い込んでいた結城。そんな彼に遠藤が「死体を始末したのは自分」と嘘をついて脅迫を仕掛けてくる。聡が撮影した動画を新から預かっていた遠藤は、動画から抜き取った結城と袴田の音声をネタに金銭を要求。結城は受け渡しの現場で彼を殺害してしまうのだった。
その後、若槻が生きているのを知った結城は、若槻と新を誘拐。これに特命係と警視庁の面々が立ち向かう。結城の手元にある新のスマホを利用して追跡を試み、「暴走した秘書を説得してほしい」と袴田を呼び出す。最後は右京が事件に関与していなければできない発言を袴田から引き出して、見事解決に導いた。
今回は元旦SPらしく、警視庁のメンバーがほぼ揃って活躍。犯人逮捕に協力した伊丹(川原和久)たち捜査一課と青木(浅利陽介)らサイバーセキュリティ対策本部。鑑識課の益子(田中隆三)が現場でプロの技術を見せ、角田課長(山中惇)も若槻の身元がわかる貴重な情報を右京に伝えた。彼らが力を合わせる姿はいつ見ても本当に胸熱だ。右京のムチャな提案に「正義のために思う存分にやれ」と言い放った内村刑事部長の男気にもしびれた。
また、ゲストでは若槻を演じたイッセー尾形の演技が見事。判事らしい威厳と偉そうな態度を保ちつつも仕草や言葉に人間味があり、時折見せる軽妙さにクスッとせずにいられなかった。さすがは日本の一人芝居の第一人者にして稀代の怪優だ。
なお、この元旦SPでは「今後の展開に絡む布石では?」と思われる点がいくつかあった。
「決着をつける」と睨みあう右京と袴田
今回、まんまと右京に鼻を明かされた袴田。「お前とはいずれ決着をつけなければいけないようだ」という彼に「望むところです」と右京は返し、二人は睨みあう。
明らかにまだ戦う気満々だった二人。今後袴田は右京に報復を仕掛けてくるのではないだろうか。官房長官の鶴田に続いて再び大物政治家を敵に回した右京。またあのときのような国家権力を持つ相手との厳しい戦いが繰り広げられるのかもしれない。
冠城卒業のキーマンとなるのは少年時代の友人か?
右京と一緒に由梨が暮らす実家を訪ねた冠城。その晩泊った彼は自室で一枚の葉書を見つけて子ども時代を思い出す。少年の亘には仲よくしていた友人「かずや」がいた。しかし、彼は亘を避けるようになり、そのまま引っ越してしまった。手紙をもらえるよう自分の名前と住所を書いた葉書を彼に渡したかったけれど渡せなかったことを、冠城は右京に明かす。
今シーズンの最終話で番組卒業が決まっている冠城役の反町隆史。もしかすると、この少年時代の友人が冠城が特命係を去る物語に絡むのではないだろうか。
思い返せば、初代相棒・亀山薫(寺脇康文)は友人の遺志を継いで外国へ旅立ち、三代目相棒・甲斐亨(成宮寛貴)は親友のために自ら犯罪者となり懲戒退職。特命係をやめていった他の刑事たちの軌跡から考えても、冠城の友人がキーマンとなる可能性は十分考えられる。
「下についた者がことごとく警視庁を去る」ため、「人材の墓場」といわれていた右京。二代目相棒・神戸尊(及川光博)だけは警察庁に異動してかろうじて警察を辞めなかったが、冠城の場合は、何がきっかけでどのように右京に別れを告げるのか。袴田及び冠城の友人についてはあくまで筆者の考察に過ぎないが、ひとまず心に留めつつ今後の展開を見守っていきたい。
※この記事は「相棒 season20」の各話を1つにまとめたものです。
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