<相棒 season20>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第7話レビュー
川で行方不明になり、その後重体で発見された少年・悠太(晴瑠)。7話は、この事故に絡む「川男」なる妖怪の謎を右京が突きとめていく物語だった。
かつて幽霊にただならぬ熱意を見せたこともあり、実は超常現象に目がない右京。弟は川男に引っ張られたのだと主張する悠太の姉・百花(米村莉子)の話を聞いて、「(川男は)河童に近い種の未確認生物かも…」と食いついていく。そんな右京を百花は「おじさん、妖怪ハンター?」と不思議がっていた。
その後も、あれこれ本を調べて川男の研究に余念がない右京。妖怪に否定的な冠城と青木(浅利陽介)にも熱心に語り続ける。普段は冷静沈着でどちらかというとリアリストな彼のこのギャップがなんともおかしかった。
一方今回の事件の顛末はなんともやるせない。4か月前に川の近くの工場で働く青年・荻野が水死した事件と悠太の事故に、荻野が死ななければ悠太も助かっていたはず……という悲しい連鎖が存在していた。
百花と川を訪れた際、変わった足跡を見つける右京たち。釣り用の靴の足跡だと冠城が指摘する。渓流釣りをやるという彼の知識が役に立った。川男は釣り人では?という可能性が高まる。さらに、近くで水質検査用ボトルのキャップも見つかり、ここから謎が紐解かれ始める。
釣り用の靴を履きボトルで採水していた川男。それは荻野の上司の高部(佐藤貴史)だった。黒い作業服姿の彼を見た悠太が川男だと思って追いかけたのだった。
高部が水を調べていた理由は土壌汚染。当時工場で貯水タンクの破損し、川を汚染させた恐れがあった。にもかかわらず社長の笹沼(三波豊和)は調査を放棄。ただ一人汚染を心配した荻野が川を調べているうちに死亡。高部は部下の調べたデータを無駄にすまいと調査を始めたのだった。
高部の自白を受けて、右京たちは荻野の事件の真相も突きとめる。実は事故死ではなかったのだ。事件当日、調査をやめさせようとして荻野を溺死させたのは笹沼だった。
そもそも汚染が起きたとき工場で調査していれば荻野は死なず、高部が川男になって悠太に追われることもなかった。それだけに、当時笹岡に同調した高部の罪も重たく、右京は「あなたは、二度見て見ぬふりをしたのですね」と彼を糾弾。直接手を下してはいないものの止める機会があったのに何もしなかった。それは罪がないとはいえない……そう語る右京の言葉の奥には静かで深い怒りがあった。
そして、この事件のせいで特に苦しんだのは、実は百花。悠太が溺れた日、彼女は弟の面倒を見るのが嫌で嘘をついて家族と川に行くのを拒んでいた。あのとき一緒に行っていれば…と後悔し、事故のせいでネットや近隣の住民たちから責められている母を守りたいとも思っていた百花。だからこそ弟の事故を川男のせいにしたかったのだろう。
嘘をついていたことを泣きながら母親にあやまる百花。この小さな身体にどれだけの苦しみを抱えていたのだろうか……と不憫でならなかった。彼女のためにも悠太の回復を祈るばかりだ。
今回、釣りの知識を披露してかなりの活躍を見せた冠城。この第7話の放映日、演じる反町隆史がseason20の最終回で「相棒」を卒業することが明らかになった。
初代・亀山薫から数えて通算4代目の杉下右京の相棒となり、7シーズンと歴代最多の出演を果たした冠城。いなくなるのは寂しいが、彼がどのような形で特命係を離れていくのか、その活躍と結末を今後の数か月しっかり見届けていきたい。
※この記事は「相棒 season20」の各話を1つにまとめたものです。
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