<ちむどんどん・東京編(2)>51回~75回の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第67回:暢子は自分の店を持つことを考えはじめる
再婚? うちが? 誰と?
賢吉(石丸謙二郎)に善一(山路和弘)との「再婚」を勧められて訝しげな顔をする優子(仲間由紀恵)を見て、暢子(黒島結菜)のお母さんだなあと痛感。
共同売店で一緒に働いていて、好意をさりげに示され続けていて、周囲からもからかわれているにもかかわらず、他人事みたいに状況を理解していない優子は暢子とそっくりです。
ふたりは鈍いというよりは、興味のないことにはいっさい興味を示さないタイプなんではないかと思います。その代わり、好きなことには猛進する。優子と暢子に限ったことではなく比嘉家の人たちは、ほぼみんなそういうタイプのような気がします。
善一は、智(前田公輝)ほど好意をあからさまに見せてはいません。好意にためらいが滲みます。それは年の功でしょう。役としてもそうだし、俳優としても。
「あさイチ」では、善一と優子は近すぎると大吉さんが心配していました。例えがおかしくて。大吉さんのお母さんと華丸さんのお父さんが再婚するみたいだから「ちむわじわじするなあ」と言う。
大吉さんは以前にも、対外的な関係性を配慮する発言をしたことがありました。たしか「カムカムエヴリバディ」で、撮影所の社員が女優を好きになることに対してそれは踏みとどまる必要があるというような事を言ってました。しきたりを守る、気遣いのかたなのだなと感じます。というか、芸能界では基本、年功序列をはじめ関係性を重んじますよね。実際守られているかは別として職場恋愛禁止とかもよく聞きます。
どんなに好きでも環境上、気を配るべきときがあるということの最たるものが、石川家です。博夫(山田裕貴)が厳格な祖父・小太郎(小林勝也)から良子(川口春奈)と離婚して再婚することを勧められます。そりゃあ、嫁が実家に帰ってしまったままということをお固い家だったら恥と考えるでしょう。
昔からの決まりや他人の目を気にすることはほんとうは必要のないことで、本来はやりたいことをやるべきということを「ちむどんどん」では暢子や賢秀(竜星涼)や良子が体現している途中であります。はたして、暢子たちは最後まで自分の思いを貫くことができるでしょうか。
アッラ・フォンターナでは、特別なお客様・西郷久雄(高木渉)と西郷めぐみ(新井美羽)・父娘の間にも再婚問題が。めぐみは再婚なんて認めないと一度は反抗したものの、再婚相手と亡き母の思い出のポルチーニのリゾットを食べて考え直します。
いきなりリゾットがどんっと出てきて、コースではなく単品メニューなのか?とか、デリケートな話をするときもお店のど真ん中で落ち着かなそうだなあとか、いろいろ気にかかることはあります。毎日、細かいことをチェックすることが気分転換になれば良いのですが、不満は人の心をじょじょに病ませます。
自分の人生の貴重な時間、暢子たちのように謳歌したいし、華丸大吉さんのように
笑いに転化したいですよね。
愛(飯豊まりえ)の渾身の記事「ズボンをはいた女の子」が社内的には評判がいまひとつでしたが、読者からの熱烈な反響があったことがわかります。読者からの手紙を読んで、じんわりしている愛の表情がとても良かったです。
飯豊まりえさんは、NHKのドラマ「岸辺露伴は動かない」で演じた漫画編集者役がキュートで魅力的で、代表作になったと感じていました。あっけらかんとしたキャラが似合うと思っていましたが、愛が見せた苦労人の表情も良かったです。向田邦子ドラマのような心の内に隠した鈍器のようなものを見せてくれています。飯豊さんのポテンシャルを感じることができてよかった。
※この記事は「ちむどんどん」の各話を1つにまとめたものです。
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