<虎に翼・新潟編 >15週~19週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第76回のレビュー
第16週「女やもめに花が咲く?」(演出:梛川善郎)で、昭和27年(1952年)、寅子(伊藤沙莉)は新潟の三條の支部長として赴任しました。きっと大変なことが待っていると覚悟して向かったところ、妙に明るく好意的に迎えられ、拍子抜け。
庶務課長の深田(遠山俊也)や杉田太郎(高橋克実)と次郎(田口浩正)兄弟弁護士をはじめ、みんな人が良さそうです。「田舎では持ちつもたれつ」とにこにこ親しげ。
寅子は新潟で新たな土台づくりを目標にしています(桂場は「地盤」と言っていましたが寅子は「土台」と言っています。土台のほうがわかりやすいですね)。仕事も家庭も土台を1から積み直すのです。
仕事場では穏やかに。家では優未(竹澤咲子)と母子の関係を作り直します。これまで家事をあまりやってこなかった寅子ですが家事もやります。帰宅して早々に、勉強しなさいと言いそうになり、ぐっと留め「遊んでなさい」と言い換えます。溝を埋めようと必死の寅子。でもふたりっきりの食卓はなんだか気まずい。
朝は家の前でラジオ体操もします。「その頑張りかたは大丈夫かい」という語りの尾野真千子さんの心配がおもしろかったです。
職場では、予想されたいびりなどはまったくないものの、仕事の量は多く、夜中に令状をもらいにこられたり(ふすまのすきまからそっと優未が見ている)、前任者の残していった仕事も山積み。
弁護士は、杉田兄弟しかいないため、配置を入れ替えながら続けざまに法廷に立っていて、寅子は面食らいます。
芸達者な高橋克実さんと田口浩正さんがじつにユーモラスに演じています。
「サワラらな」の言い方とか。
にこにこと親切ぽいけれど、寅子がいなくなると太郎は舌打ちしたりして、油断なりません。
仕事を残して急いで帰宅する寅子に、みんなじょじょに不満がたまっていくのではないかと心配になります。寅子にせいいっぱい気を使っているのに、仕事を残して誰よりも先に定時に帰ってしまうというのは不満がたまるのでは。現代だと偉い人が先に帰ることで部下も帰りやすいということがあるようですが、ここではそういう感じではなさそうです。
家に帰ると優未がまめまめしく料理しています。優未に気を利かせてしまっている。これでいいのか、寅子。
仕事も家庭も土台づくりをと頑張るにあたり、強気で突き進むのではなく下手に出ながらやんわりとやってるところにも努力を感じますが、腫れ物に触るように気を使うあまり、早くも仕事にも家庭にもどちらも中途半端になっているようで、これから先が心配です。
慣れない新潟生活に、なつかしい顔が。
航一(岡田将生)も新潟に赴任していました。
「この街のかたはみなさんとても親切で」と言う寅子に、微妙な顔をする航一。なにか思うところがありそうです。
航一、最初は変わり者でしたが、寅子は共同作業を通じてじょじょに彼の扱いに慣れていたようだったのが、ちょっと離れるとまた元通り? 休みはなにを?と聞くと「休みの日は休んでいますね」と、こういう斜に構えた返し方する人います。
寅子は「相変わらずいろいろと読めない」と心で思いますが、でももう悪い人ではないのがわかっているから、そんなに気になりません。彼が、孤立無援の寅子の支えになってくれるといいのですが。
※この記事は「虎に翼」の各話を1つにまとめたものです。
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