続・朝ドライフ

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2024年07月28日

<虎に翼・新潟編 >15週~19週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

<虎に翼・新潟編 >15週~19週までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】


「木俣冬の続・朝ドライフ」連載一覧はこちら

2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。

日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。

CINEMAS+ではライター・木俣冬による連載「続・朝ドライフ」で毎回感想を記しているが、本記事では、寅子が新潟地方裁判所へ異動することになる第15週~19週までの記事を集約。1記事で感想を読むことができる。

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もくじ

第71回のレビュー

昭和26年、寅子(伊藤沙莉)はアメリカの裁判所視察に参加し、見聞を広め帰国しました。第15週「女房は山の神百石の位?」(演出:伊集院悠)はすごいショートカットではじまりました。アメリカに学びに行ける感動や喜び、子供と長く離れることになる葛藤は、前作「ブギウギ」で描かれたから割愛でしょうか。

寅子はすっかりアメリカナイズされて、華やかな服装で帰ってきます。本人はノリノリだけど、周囲はそのノリについてこられず、浮いている感じが伊藤沙莉さんの演技のうまさでおもしろく見ることができます。コントふうに落とし込むのがうまい人であります。

家に帰っても「女優さんみたいでしょう」と気取って笑われます。

家では家族たちが「おかえりなさい」の横断幕を手作りして待ちかねていました。
寅子は、花江(森田望智)には美容クリームと料理の本、子供たちにはお菓子と英語の本。誰もが英語をそんなに読めないのにやや戸惑い気味。

帰国してますます忙しい寅子に、昔なじみの記者・竹中(高橋努)が密着取材を申し込んできました。
寅子の家庭生活や、後輩の証言など、取材します。

家のことは家族で分担を?と竹中に聞かれた寅子は「みんなで支えあっています」と答え、花江が微妙な顔をします。
寅子はふだんしていない料理(ロールキャベツ)を作りますが、竹中にふだんやっていないことがバレバレ。花江が咄嗟にフォローします。
花江は、直言(岡部たかし)がやっていた寅子の記事のスクラップを代わりに続けていて、竹中に見せます。この記事のなかには竹中のものもあったことでしょう。「あ、おれの記事だ」とか言ってほしかった。
花江は、はる(石田ゆり子)の着物も着ているようで、猪爪家を守り伝えようとしているようです。

それにしても、なぜ、寅子は嘘をついてまで自分をよく見せたいのか。寅子は生意気ではあるが正義の人ではなかったのでしょうか。自分をよく見せるようなことをする人ではなかったのでは。しかも、取材のあと、後片付けはあからさまに花江がやるはめになるという状況描写までありました。

寅子がここまで来ることができたのは家族の協力あってこそで、それが積もりに積もって爆発し、寅子が反省する週なのでしょう。あれほど、人を雨だれ扱いするなと主張してきたのに、なぜか家族が黙って寅子に尽くしていることには気付けていないのです。

さらにいえば、日本の法曹界、どこもかしこも人手不足ということで、寅子が活躍しているのは人材不足であること、GHQの要請で女性を登用しないといけないことが、重なった偶然なのではないかとさえ思います。たぶん、そうで、そのラッキーに気づかず自分の実力と思い込んでいる、じつに滑稽な人物として描かれているのが不思議ですが、完璧すぎるとつまらないし、こうやってたまに主人公が欠点によってぎゃふん(死語)となり視聴者のガス抜きをするという趣向でありましょう。

人手不足とはいえ、寅子にあこがれて法曹界を目指す女性たちも増えていて、竹もとで彼女たちの取材も行われました。メガネの女性ふたり(吉永〈川久保晴〉、玉木〈平体まひろ〉)が寅子を讃えます。余談ですが、このふたりのほうがどちらかというとモデルの三淵嘉子さんのように見えました。
後輩たちに、寅子は「私たちの時代はね……」と言い、微妙な顔をされます。年上が年下にいやがられる、典型的な自分たちの時代の話をしていて、すでに出涸らしの道に足を踏み入れているようでもあります。
ここで、反省して、残りの3か月、申し分のないすばらしい人物としてがんばってほしい。

今日の疑問。家庭裁判所の事務所はなぜずっと屋上の掘っ建て小屋で、寒いままなのか。猪爪家の厨房も気づけば風通しよすぎではないか。これでははるが倒れても無理はない気がする。花江も気をつけてー。


※この記事は「虎に翼」の各話を1つにまとめたものです。

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(C)NHK

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