<らんまん・高知編>1週~5週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第21回のレビュー
第5週「キツネノカミソリ」(演出:津田温子)は急展開。高知で自分と向き合った万太郎(神木隆之介)と綾(佐久間由衣)は自分たちの思う道を進もうと誓います。それはタキ(松坂慶子)が決めた結婚はしないということ。
諦めたら
「わしのいのちがついえてしまう」
(万太郎)
と言うほど真剣な万太郎。諦めたら試合終了なのです。
ここまで強く決意したわけは「もうひとりのわしに会うて来たがじゃ」。
もうひとりの万太郎とは、名前が似ているジョン万次郎(宇崎竜童)でしょうか。「万」の名前がついていることはそうなのかなと。広い自由を求めて世界に出ていった人物みたいに万太郎もなりたいのかも。この場合の自由とは「知る」「学ぶ」自由でしょうか。
「お互い今日選んだ道を悔やまんこと」
と指切りするふたりを見守る竹雄(志尊淳)は、
「おふたりは前だけ向いちょってください。後ろはわしがおりますき」(竹雄)と言います。健気です。
ところが、竹雄がついていながら大変なことが……。
高知を去る日に、もう一度、逸馬(宮野真守)の演説を聞きに行くと警察が来て、万太郎まで捕まってしまいました。
どうしようと逆上する竹雄と綾。
責任を感じた竹雄は綾を置いて走り出します。たぶん、峰屋に戻ろうとしているのだと思いますが、そういえば、どうやって佐川村から高知に来たのでしょう。列車? 徒歩?
綾をひとり置いていって、綾に何かあったらどうするのでしょうか。この時代、物騒だと思うんですが……。
さて。朝ドラで逮捕といえば「まんぷく」(18年度後期)です。萬平(長谷川博己)は3度も投獄されています。ほのぼの朝ドラの世界に逮捕という重たいものがのしかかり異彩を放ちました。
朝ドラでは意外と逮捕のエピソードがあるのです。
朝ドラ辞典「罪」参照
でも、希望はあります。
逮捕される前に、万太郎が演説で語った、植物の話。踏まれたときこそ「変化の機会」で、踏まれて強くなったり、種を遠くに運ぶことができたりするのです。
万太郎が連行されていくとき、草を踏んでいくカットが挿入されていました。これが万太郎の転機という意味を感じます。
そして牢屋の窓に葉っぱがのぞいていて、万太郎を勇気づけます。
ノベライズを読むと、通気孔から蔓が顔を出しているという描写でしたので、窓ではなく通気孔なのかも。そうでないと、こんなところからでも植物がーーという驚きが薄まりますよね。
いずれにしても、どんな場所にも植物は生える。そのたくましさを見倣いたいということです。
つらいときこそ変化のチャンスと聞いて逸馬が、わしらも新政府になっても生き抜いてきたと、民衆に語りかけます。
前作「舞いあがれ!」には向かい風があってこそ凧は飛ぶというメッセージがありました。つらいことには意味があると言い聞かせるパターンが続くのは、日本がいろいろあってつらい時期だからかなと想像します。みんなで乗り越えていこうという気持ちの現れではないでしょうか。
※この記事は「らんまん」の各話を1つにまとめたものです。
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